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偏差値より“地頭力”鍛える好機 子供の夏休み

2012.7.30 [westライフ]

焚き火を囲み、自然の中で暮らす昔の生活体験の知恵を大人から聞く−。
地頭力を磨き、災害などの非常時に生き延びるチカラを付ける夏に=長野県、産経新聞「かがやき未来塾 夏休み特別版」日本アルプス体験スクール

■再生の時代 昔の生活体験の重要性

子供たちの夏休みが始まった。子供時代の体験は、心身に刻まれて生涯その人の発想や価値観の元になる。
旅行での異文化体験、自然体験、親戚(しんせき)との交流など、貴重な体験はさまざまあるが、昔の生活体験をしてみることも、子供にとって非常に深い知恵になると思う。

親や祖父母の世代には当然のことだが、今の子供世代に完全に欠落している生活体験はとても多い。
燃える火というとガスの青い炎しか目にせず、火をたく機会はない。
お鍋でご飯を炊いたり、だしをとってみそ汁を作ったり、やかんで麦茶をわかすのを見たことがない子もいるようだ。

■レンジ使わず火おこし、ビー玉遊び…新鮮で面白く「防災力」も

裁縫も若い世代はしない人が多いので、針と糸でさっと縫って何かを作るなんて子供には魔法のようだろう。
水洗でないトイレは怖がるかもしれない。
また家電製品を使わない生活は、親の世代もあまり知らないので、子供と一緒に体験宿泊などをすると親にも新鮮な発見が多いに違いない。

お手玉や石けり、ビー玉、コマ回しなどの昔の遊びをするのも、ゲーム世代の子供には珍しく楽しい体験だと思う。
ネコジャラシを毛虫に見立てたり、オオバコを引っ張ってすもうをとったりの草遊びも、こんな遊びの世界があるのかと驚くだろう。

私自身も子供の頃、毎年田舎に行って江戸時代さながらの暮らしをすることが、面白くてならなかった。
たきぎを山からとってきていろりで煮炊きをし、薪でご飯を炊き、五右衛門風呂もたく。
石臼で大豆をひいてきな粉を作り、わらじ作りもさせてもらった。
便利な機械を使わなくても商品を買わなくても、自分の手で一から衣食住を作り出していけることは、子供心に非常に誇らしく思えた。
また、畑の野菜のくずを鶏にやって、鶏の糞(ふん)は畑の肥料にする、そんな目に見える循環に、伝統的な生活の知恵も知った。

コンビニやスーパーを毎日利用し、冷凍や加工食品を電子レンジで温めて食べる。
その便利な生活を否定はできないが、それ以外の生活を考えられずできないなら、その発想力や行動力の貧困さは問題だ。

電気に依存しない生活、消費中心でない生活、自然の循環の中にある生活を、若い世代が構想していくには、こういう体験は決定的に重要だと思う。
また衣食住を手作りする力は、子供をたくましくし、世界中どこでも、災害などの非常時でも生き延びることを可能にする。

生活体験をしながらの大人と子供の尽きない話もきっと楽しい。
私たちがどこから来てどこへゆくのか、子供はおのずと考えるだろう。