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「自分は独創的」と思っている人はクリエイティブになれる!?

心理学者がある出版社の社員たちを調査して発見したこと

世界的に有名な創造性開発の専門家、マイケル・マハルコによれば「自分を創造的だと思っている人とそうでない人とでは、出てくるアイデアが大きく違ってしまう」という。そこで今回は、このことを実証したある心理学者の研究と、自分の価値を確信できる創造的な態度を養うトレーニングについて紹介する。

■「創造的でない」社員から斬新な企画が出るようにする方法
ある大手出版社のCEOが、自社の編集やマーケティングに携わる社員たちに創造性がないことを気にかけていた。彼は創造的な社員とそうでない社員の違いは何なのかと思い、ある心理学者に調査を依頼した。

その心理学者は、社員たちを1年間にわたって調査した結果、創造性のあるグループとそうでないグループの間には、たった1つの違いしかないことを発見した。それは、「創造的な人は自分が創造的だと思っている」し、「創造的でない人は自分が創造的でないと思っている」ことだった。自分を創造的でないと思っている人は、現実を歪めて認識してしまっている。この時点で、すでに創造的になるきっかけを失っているともいえる。

調査結果を踏まえて、CEOから依頼を受けた心理学者は、自分のことを創造的でないと思っている社員の考え方を変えるために、2つの簡単なプログラムをつくって実行した。すると1年後には、はじめ創造的ではないと自己認識していた社員たちが、創造的だと自己認識していた社員たちよりも、何倍もの創造性を発揮しだした。いったん態度・考え方が変わると、さまざまな課題に注意を払うようになり、信じられないくらいの創造性が現れはじめたのだ。

次の年には、「創造性がなかったはずの社員」たちから、数多くの斬新な企画やベストセラーが生まれた。彼らはきっかけを得て、自分自身を変え、周囲の世界を変えてしまった。

これほどまでに人間を変えてしまった方法とは何か。それは、「セルフ・アファメーション」と「クリエイティブ・アファメーション」というプログラムである。

■「セルフ・アファメーション」プログラムとは
セルフ・アファメーションとは、つまり自己肯定の感情を増強すること。そのためには、成功したときや自分の良い点、特長を思い出して、失敗したことや欠点を忘れることが大事になる。

過去に何回失敗したとしても、そんなことは関係ないと思うこと。覚えておくべき大事な過去は成功したケーススタディで、それを強く記憶しておく。成績の良いセールスパーソンは、1つの契約を成立させるまで何回でもやり直し、失敗することを恐れない。

成功は成功を生む。小さな成功は大きな成功への足掛かりだ。

まず初めにやるべきは、自己肯定へのリストづくりである。リストにはポジティブな性格、特長など、自分自身の長所をすべて記録する。仕事、家庭、学校など生活すべての領域で過去に獲得した「成功」を記録しておこう。後から思い出したり、新たにやり遂げたりしたことがあったら、このリストに書き加えていく。自分自身の能力やユニークな特質を知ることが、前に進む勇気を与えてくれる。

そして過去のうまくいったケーススタディやポジティブな性格、パーソナリティを繰り返し思い出すようにして、逆に失敗したことをさほど意識しなくなるようにトレーニングを重ねていくと、思う以上の成功が得られるようになる。

バッターボックスに立ってヒットを打とうとする野球選手と同じで、最初は打ち損じが多くても、そのうちヒットの数が増えてくる。単に反復することだけがポイントなら、打ち損なうことに熟練してくるはずだ。しかし、打ち損じを超えてヒットの数が増えてくる理由は、選手の心が打ち損じではなく、ヒットを打てた機会を記憶し、強固に忘れない体験にするからだ。

■クリエイティブ・アファメーション」プログラムとは
出版社の社員たちを変えてしまったもう1つのプログラムが、「クリエイティブ・アファメーション」だ。自分が創造的だという考え方を養い、強化するために、創造性に関するポジティブな側面を書き留めて、そのリストを利用する方法である。一見単純に見えるが非常に効果的なテクニックだ。ぜひやってみてほしい。

人間は、自分や自分を取り巻く環境について「真実だと想像している」姿に従って感情がわき起こり、行動する。真実だと想像しているものが、実際の真実になる。人は、心の中で描く自画像通りの人間になるのだ。つまり、自分自身を敗北者として見ていれば、それだけで勝つことは不可能になってしまうし、自分が勝利を得る姿を鮮明に思い描いていれば、それだけで計り知れないほど成功に近づく。

自分が創造的であることを視覚化することから始めよう。まず数分間、自分に創造性があり、創造的な存在であることを肯定するフレーズをいくつかメモする。「私は創造的/クリエイティブだ」でもよいし、「私はアイデアを得るために、タイミングよく正しい行動をしている」など具体的なことでも構わない。

次に、書いたメモから1つを選び、それのフレーズを20パターンのバリエーションに書き換える。表現だけではなく、一人称、二人称、三人称も使って書く。例えば「私、マイケルは創造的な人間である(一人称)」「マイケルは創造的なヤツだ(三人称)」「マイケル、君はクリエイティブだなあ(二人称)」……「私は本当に創造的だ(表現違い×一人称)」「マイケルはこの集団の中で最も創造的な人だ(表現違い×三人称)」「マイケル、君は創造性に恵まれているよ(表現違い×二人称)」……そんな調子だ。

20のバリエーションをつくる段階ではしっかりと時間をとり、バリエーションを1つ書くごとに実際にそのフレーズや単語についてじっくりと思いを巡らす。アファメーション、創造性を肯定する単語や表現を、いろいろ変化させながら書き続けてみる。

フレーズを書き出している間には、ネガティブな考えが浮かんでしまうこともあると思う。「マイケルはここ2年というもの、新しいアイデアを考えついたことがない」「誰もマイケルを創造的だと思っていない」「マイケルは頭が鈍いから良いアイデアは思いつけない」「クリエイティブと呼ぶには年を取りすぎている」「良いアイデアを思いつけるほどの教育はない」……そんなことでも思いついたら、ノートの隣のページや別の紙にちゃんとメモを取っておく。その後、再びポジティブなアファメーションを書く作業に戻ろう。

いったんアファメーションを書き終わったら、メモしておいたネガティブな表現を読み返してみる。これこそがクリエイティブな人間であろうとすることを妨げる障害物。それぞれの障害を認識したうえで、1つひとつをひっくり返してポジティブなフレーズに変換していく。ネガティブをポジティブに、あるいは無効なものにしてしまおう。

「マイケルはここ2年というもの、新しいアイデアを考えついたことがない」なら、「マイケルは毎日新しいアイデアを考えつく」に。
「誰もマイケルを創造的だと思っていない」は、「みんなはマイケルをよく知らないからクリエイティブかどうか判断できない」に。
「良いアイデアを思いつけるほどの教育はない」なら、「発明家や大きなアイデアを生み出した人には教育を受けていない人が多い」に。

毎日5分間、自分は創造的だというアファメーションを書き続けよう。いずれネガティブなフレーズなど、思いつかなくなる。もう必要がないと感じるまで、ポジティブなアファメーションを書き続けることがポイントだ。

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