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米最西端の一匹狼OR7、父親になる

2014年6月11日
ナショナルジオグラフィック式日本語サイト

(Photograph courtesy U.S. Fish and Wildlife Service)  アメリカ西部を数百キロ放浪して有名になったオオカミに、ついに子どもができた。少なくとも2匹の子どもが確認されている。

 アメリカ本土48州で確認されているどのオオカミ集団にも属さず、遠く離れた西部の地をたった1匹で数百キロも放浪し、その名を全米に知らしめたあのオオカミが、ついに父親となった。

 アメリカ最西端のオオカミとして知られるOR7は、首にGPS発信装置の付いた首輪を着けている。最近になってオレゴン州南西部カスケード山脈の西側に腰を落ち着け、一生を一匹狼として過ごすのだろうと思われていた。

 ところが今年5月初め、OR7を追っていた米国魚類野生生物局(FWS)が、その姿を撮影していた動体検知カメラにもう1匹、毛色の濃いメスらしきオオカミの姿が捉えられていたのに気付いた。どうやら、西部の一匹狼が恋人を見つけたらしい。

 6月2日に政府の生物学者らは、OR7の住むローグリバー・シスキユー国立森林公園を訪れ、2匹の子どもオオカミを発見、カメラに収めることに成功した。オオカミは通常一度に4〜6匹を出産するので、もしかしたら他にもいるかもしれない。

 オレゴン州魚類野生生物局によると、カスケード山脈でオオカミの子どもの誕生が確認されたのは、1940年代半ば以来初めてのことである。州内では、昨年暮れの時点で64匹のオオカミが確認されており、そのほとんどは北西の隅に固まっているという。

◆子どもオオカミを探して

 子どもの存在を確かめるため、研究者らはOR7の首輪から得られた情報をたどって、巣穴のある場所を特定した。ただし、その場所は公表されていない。それを頼りに深い森の奥へ踏み入り、巣穴近くでじっと待っていると、やがて2匹の子どもオオカミが飛び跳ねながら姿を現した。

 生物学者のジョン・スティーブンソン(John Stephenson)氏がカメラの電源を入れると、オオカミはかすかな電子音を聞き取って倒木の陰に隠れてしまった。しばらくして、好奇心に勝てずにその鼻をもう一度突き出したところを、カメラに収めることができた。

 オレゴン州のオオカミ管理計画によると、オオカミの繁殖集団として公式に認められるためには、OR7とその相手のメスは2匹の子どもたちを12月31日まで生存させなければならない。そのため、スティーブンソン氏らは後日この場に戻って、両親のうちどちらかに新しい首輪を取り付ける計画だ。OR7の首輪の電池は、もうすぐ切れてしまう。

 さらに、近隣で放牧されている家畜動物にも十分目を光らせるよう関係者に連絡を入れる。

 スティーブンソン氏は、子どもたちが無事に成長して独立し、それぞれの集団を形成していくことを期待している。OR7とその家族は現在、カリフォルニアとの州境にかなり近い所に生息しており、次世代の集団はカリフォルニアに住み着く可能性も十分にある。

◆オオカミ保護をめぐる対立

 子どもオオカミの存在が公表されたのと同じ日、偶然にもカリフォルニア州漁業狩猟局は、州の絶滅危惧種法の下、オオカミを保護対象とすることを決定した。

「アメリカ西部にとって、ハイイロオオカミほど象徴的な陸上動物はいない」と、マイケル・サットン(Michael Sutton)委員長は声明を出している。

 その一方で、オオカミ保護に懸念を示す政治家もいる。オレゴン州南東部の郡選出の州上院議員ダグ・ウィットセット(Doug Whitsett)氏は、「オレゴン州は100年かけてオオカミを根絶してきたというのに、今度はそれを呼び戻そうとしている」と不満をもらした。

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なんかうれしい記事だったので。