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仕事の効率を上げることを第一の目的にしてはいけない理由

ライフハッカー[日本版]2013年9月23日(月)

Inc.:効率を上げて、短い時間で多くの仕事をこなす。これがあなたの目標であれば、効率的な仕事術についてのアドバイスは至るところで得ることができます。効率的に仕事をすることは、ビジネスの成功のために必須のスキルであると、当然のように考えられています。

ですが、効率化ばかりを重視した仕事の進め方には落とし穴があります。9つの会社を起ち上げたDaniel Epstein氏はあるサイトで、効率を第一に考えると、当初の目的から遠のいてしまうことがあると、指摘しています。彼は登山を例に挙げて、次のように書いています。

ちょっとだけ想像してみてください。あなたは今、ある山の登頂最速記録をつくりたいという意欲に燃えています。世界最速の登山家を目指しているのです。なので、あなたは何年もかけて厳しいトレーニングに励みます。人生の全てをかけて、この目標達成を目指します。あらゆることの優先順位、睡眠時間、友人関係、パートナーとの関係、すべてがこの目標のために考慮されます。

登頂のためにお金を貯め、スポンサーを見つけ、友人や家族からお金を借ります。わずかな幸運と長年の努力の結果、ついに登頂を開始する日が訪れます。山のふもとにたどりついたあとは、 研ぎすまされた集中力を保ち、綿密な計画に基づいて、山頂を目指します。天候も完璧で、すべての好条件がそろっています。そしてついに、山頂に到着します。下界を見下ろし、世界記録を樹立したことを知るのです。これまでの挑戦者の誰よりも速く登頂を成し遂げ、新たな歴史をつくったのです。

この記録達成において重要なこと、登頂速度よりもはるかに重要なことというのは、「正しい山」に登るということです。スタートアップの世界で、もっともよく見られる失敗の要因は、間違った山に登ってしまうことです。しかし、すさまじい速度で登っているため、とても良い気分で登り続けてしまうのです。

長い道のりを走り続けることがすばらしいのは、正しい方向に進んでいる場合のみです。「まず大事なのは賢く仕事をすること。次に大事なのが仕事をがんばることです。がんばることを最優先にすると、目的を持たずに、無駄に生産性を高めることになります」Epstein氏はこのように説きます。

Epstein氏は生産性を高めることが無意味だと言っているのではありません。氏の主張は、目指している場所、そしてそこまでたどり着く方法が漠然とでも見えている状況において、生産性の力は発揮されるということです。

全体の枠組みやシステム、経営体制などについて頭を悩ませていて、正しい方向に進んでいるかどうかがまだはっきりと分からない状況においては、無我夢中で走り続けても、最終地点に到着してから、その場所が目指していた場所ではなかったことに気付くという事態も起こりえます。走るスピードは、正しい目的地無くしては、意味を持ちません。正しい目的地を設定すること。これがもっとも大切なのです。