独学で新しいことを学ぶとき時の4つのコツ
人はたいてい新しいことを身につけたいという情熱を持っています。例えば、スキルを磨いたり、新しい趣味を見つけたり、まったく新しいことを学んだり。けれども、相当の熱意で打ち込まない限り継続するのは非常に難しいものです。ここでは、新しいことをしっかり身につけるコツをお教えしましょう。
独学をする上での問題は、情報や講座がないことでも、それらが無料で利用できないことでもありません。大学に授業料を払わなくてもいい状況で、熱意を保ち続ける環境を整えられるかどうかです。
文化教育系メディア「Open Culture」の最近の調査では、オンライン講座が修了できないことの「よくある理由」を挙げています。修了までに必要な時間が長過ぎることや「学習疲れ」などですが、そうした問題のほとんどは、熱意さえあれば解決しやすいものです。
何かに興味を持っているからといって、それを最後までやり通せるとは限りません。そこで、独学計画の立て方をテーマにした著書『Don't Go Back to School』が刊行されたばかりのKio Stark氏にお話をうかがいました。
■本当に学びたいことを見つける
まず、自分が本当に興味を持っていることは何かを知らなければなりません。簡単そうに見えますが、あまりにも多くの情報があふれている現代では学びたいことや磨きたいスキルを正確に見きわめるのはたいへんです。そこで、作家のAnnie Murphy Paul氏は、いくつかのことに手をつけてみて、好奇心を刺激する方法を提案しています。
教育と経済学の学者であるGeorge Loewenstein氏は1994年の論文のなかで、好奇心を抱くにはそもそも知識が必要だと述べています。人は、まったく知らないことには興味を持ちません。ですが、ほんの少しでも知れば、興味をそそられ、もっと知りたくなります。実際、好奇心が知識とともに大きくなることは、研究でも明らかになっています。知れば知るほど、もっと知りたくなるのです。このプロセスを起動させるためには興味をそそられるけれども完全ではない情報に触れて、好奇心を「刺激する」と良いとLoewenstein氏は提案しています。
もちろん、このステップを省略できる人も多いでしょう。すでに興味を持っていることがあるなら、それを追求してください。けれどもそうでない場合は、マサチューセッツ工科大学(MIT)のクリエイティブラーニングラボなどのようなウェブ上のリソースを活用してみてください。好奇心を「刺激」して、次に学ぶべきことを見つけるためのきっかけにしてみましょう。
■自分に合った学習方法を見つける
学び方は、人それぞれで少しずつ違います。学習を「続ける」のに苦労しているのなら、自分に合った方法を探してみると良いとStark氏は勧めています。
独学の場合、「自分にとって最良の学習方法」をみつけることがとても重要です。これは私がインタビューした人の多くが強調していた点です。最良の方法を見つけるにはちょっとした試行錯誤が必要ですが、そうするだけの価値はあったそうなのです。学習を成功させ満足のいくものにするためには、自分を知ることが欠かせないと彼らは述べていました。
学習方法は人によって違うでしょうが、自分に合った学習方法がわかれば、それを実行するための計画を練ることができます。
決まった道筋(計画)に沿って学んでいくのを好む人もいれば、即興的な方法を好む人もいます。ここで言う即興的な方法とは、まず興味のあるところから始めて必要に応じて脇道にそれながら、興味の対象を理解したりスキルを身につけたりしていく学習方法のことです。この場合も、自分を知ることがとても大切です。
けっして楽しいものではありませんが、どうやって学ぶかを決める際には、いろいろなやり方を試してみるのが一番です。自分に合っていないのなら、別のものを試してみると良いでしょう。何かを試して、2〜3週間ほど経ってもうまく入り込めないようなら、別のサービスを試してみてください。あるいは基本をマスターしてから、いろいろと試してみるのも良いでしょう。
もうちょっと厳格なスケジュールを好むなら、大学の講義に出ているような感覚で学習計画をつくってカレンダーに貼り付けておくと良いでしょう。たいていは、どんなスケジュールにも学習の時間を組み込むことができます。職場にいるときでさえ学習は可能なのです。
■「習うより慣れろ」を可能な限り実践する
たいていの場合、実践に勝る学習方法はありません。実際にプログラムをつくってみればプログラミングの練習になるし、語学は話すことで身につきます。壁にぶつかり、学習を続けるのに苦労しているのなら、実地で学べる環境を手に入れる必要があるかもしれません。Stark氏は、ある映画制作者の例を教えてくれました。
学習を成功させる方法のひとつが実地で学ぶことです。私がインタビューしたJim Munroe氏は、小説家ですが、映画制作も始めた人です。彼は、最良の学習方法は実際に映画をつくってみることだと語ってくれました。失敗も含めて、それが彼の判断に大きな影響を与えているそうです。映画づくりの基本を誰かに教えられていたとしたら、今のように深く理解することも、「ルール」の根拠やその効果的な破り方を覚えることも、できなかっただろうとMunroe氏は語っています。
この方法は基本的に、学習の途中で実際に練習してみることです。また、学習プロセスの幅を広げて、複数のスキルを一度に訓練するという側面もあります。
覚えておいてほしいのは、誰でも一度は壁にぶつかり、何も身についていないとがっかりしたり、燃え尽きたような気分になったりするということです。けれども、それはたいした問題ではありません。休憩をとったり、学習方法を変えたりすれば、壁を乗り越えることができるはずです。
■一緒に学ぶ仲間を見つける
ご存じでしょうが、同じことに興味を持っている人に囲まれているほうが、たいていの人は学習の効率が上がります。学習を続けるのに苦労している理由が、独学につきものの孤独感にあるならば、同じ志を持つ仲間を見つけると良いとStark氏はすすめています。
学習に必要なもうひとつの基盤が一緒に学習する仲間です。一緒に学ぶことで、あなたの学習内容や進歩について仲間から意見をもらえます。さらに、学習を続けるモチベーションも得られます。また、あなたのほうも仲間に対して責任を負います。
バイオトイレを製造する会社を興したMolly Danielsson氏によれば、科学的知識や製品デザイン、法的な問題など、仕事に必要なことはすべて学校以外の場所で学んだそうです。彼女と共同経営者は、起業後すぐに「環境に配慮した公衆衛生」のコミュニティに加わり、「私たちのクレイジーな計画をやり遂げるためには、それをコミュニティの仲間に伝えて、初志貫徹できるよう協力してもらう必要がある」と考えました。それがうまくいったわけです。
一緒に学ぶ仲間は、どんな分野であっても簡単に見つかるでしょう。オンラインサービスを使えば、同じ志を持つ人やコミュニティを結び付けるイベントを探せます。
最後にもうひとつ。やめどきを知ることも大切です。新しいスキルを身につけたり、新しい趣味を覚えたり、知識を広げたりしようとしても、ときには思っていたほどおもしろくなかったということもあります。それならそれで良いのです。ただ、まだ興味を持っているのにうまく続けられない場合はこれまでに紹介したヒントが役に立つはずです。
独学での学習は、スケジュールと集中力を必要とする習慣のようなものです。1日15分ずつでも、続ければかなりの時間になりますよ。そもそも始めることができたのなら、きっと最後までやり通せるはずですから、頑張ってください!