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月16戸!ロジカル&ハート「顧客獲得術」 −女性トップセールス11人の「奥の手」見せます−【11】大和ハウス工業

2012年10月26日(金)(プレジデントオンライン)

「お客様がお帰りになるとき、お申込みになるか、それともダメそうなのかを必ずうかがいます」

大和ハウス工業株式会社の北陸マンション営業所でマンション販売を手がける小松梨華さんはきっぱり言う。ここであえて返事をもらわず、宙ぶらりんの状態にしておく営業担当者は多い。「契約できそうな客が何組かいる」と上司に報告できるからだ。

しかし、小松さんは「もう会えないかもしれないし、どっちつかずはお客様にとっても時間の無駄」と考え、ローン計画などあらゆる説明をしたうえで、次にどうするのか明確な返事をもらう。購入をせかすのではなく、意思を確認するのだ。「断られても、そこで対応策が出ればいいし、対応策がないようなら仕方がない」。だから「早いときは翌日に成約することもあります」。このスピード感が小松さんの強みだ。

小松さんは大学新卒入社し、現在7年目。笑顔と愚痴を言わないことがモットーだ。当初、女性営業はまだ珍しく、受付と間違われたり、男性の営業はいないのかと言われたりして、出鼻をくじかれたことも。

が、いざ営業が始まると客の見る目が変わる。初年度には半期で8戸を売り、トップ争いに食い込んだ。月に16戸を売ったこともあり、現在も常にトップクラスの成績だ。的確でスピード感ある営業を支えているのが、「営業はいつもお客様の味方」という姿勢だ。客には最初にきっかけを尋ねる。

「今度子供が生まれるなど、根本的なきっかけがあるんです。でも、お客様は眺望とかローンとかいろいろ考え始めると、本来の目的と優先順位を忘れがちになります」

そうなると客は整理がつかなくなり、「やっぱりやめとく」となりかねない。

そこですかさず「お子さんが生まれるんですよね?」と元の軸に軌道修正する。「お客様の考えがぶれないようにするのが、私の役目です。営業がぶれたらお客様も迷ってしまい、結果としてお客様のためにもなりません」。

質問に即答できることが信頼につながるため下調べも欠かさない。新人時代の教育担当者の教えを守り、担当物件の長所100個をノートに書き出すことも。そのためには、近隣の競合マンションの見学にも行くし、街歩きも欠かさない。客に結論を聞く以上、自分も質問への回答を宿題にしないのだ。

通りすがりで寄った客でも努力を惜しまない。「いらっしゃったお客様は、全員が買ってくださると思って営業しています。通りすがりのお客様でも、ローンの説明などをして何か一つでもプラスになって帰っていただきます。何も得られなかったら、お客様の時間も無駄になってしまいますから」。

客のためなら、ある種の“喧嘩”もいとわない。20年後、40年後を見ずに、子供の就学を機に家族1人ずつに部屋が欲しいという客には、「気分を損ねたら申し訳ありません」と前置きして、「お子さんがいる期間は15年だけなんですよ」と、夢から現実に引き戻すことを心がけている。

親しみのある笑顔で客に寄り添いながら、大事な軸からぶれないように冷静に見守る。その安心感が客の心をつかむのだ。

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「決めトーク」は
特別なものはありませんが、お客様にとって最も大切だと思うことを確実に伝えるようにしています。

自己啓発の仕方
本を読むのが好きなので、毎日お風呂に2〜3時間入りながらビジネス書を読んでいます。最近よかった本は、柳井正さんの『成功は一日で捨て去れ』です。

優先順位のつけ方
最初に必ず期限を確認し、そこから逆算して優先順位をつけます。

服装、化粧の仕方
華美にならないよう、落ち着いたスーツが基本。高級物件なら黒基調で地に足のついた雰囲気で。化粧は好きではないため、ごく薄く。「お客様は営業担当者の顔で購入を決めるわけではないし、そもそも男性は化粧をしませんよね(笑)」。

記憶に残る失敗談
特にありません。全く売れなかった月は月末まで反省しますが、月が替わったら、さっぱり「盛り返すぞっ」と切り替えます。

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