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「自分はしなきゃいけないことがある」-北島康介

2012年7月31日(火)
北島康介(水泳選手)
惨敗だった。五輪3連覇を狙った男子100メートル平泳ぎ。
日本のエース、北島康介は平凡なタイムで5位に終わった。

レース直後のミックスゾーン。
ショックだったはずだ。
それでも北島は記者に本音をきっちり、話し続けた。
つとめて毅然としていた。
「自分の力が出なかった点については悔しいし、せっかくの舞台で最高のパフォーマンスができなかったことも悔しい」。

質問にちょっと黙ったのは、ずっと世界記録を争ってきたライバル、アレクサンドル・ダーレオーエンノルウェー)さんについての時だった。
右手に持つミネラルウォーターのペットボトルが小さく揺れた。

ダーレオーエンさんは4月、トレーニング中に心臓麻痺で急死した。
26歳だった。
ダーレオーエンさんは北京五輪の銀メダリスト。
北島を育てた平井伯昌コーチのところに指導をあおぎにきたこともあるし、北島と一緒にトレーニングに励んだこともある。

ダーレオーエンさんの存在が、北島にとってはモチベーションのひとつだった。
だが、ロンドン五輪の舞台にはいなかった。
「彼がいないのはさみしい」と漏らした。

北島は目をしばたかせる。
「彼がいたら、きっと最高のパフォーマンスをしていたと思う。ノルウェーの人もつらい思いをしたのじゃないかな」。
ちょっと間をおく。
「彼に対しても情けないレースをしてしまった」。

北島が200メートル平泳ぎで雪辱できるかどうかは、本人の持ち前の闘志に火が付くかどうかである。
インタビューの最後に言い切った。

「粘るよ」と。

「200メートルは粘るよ。最後まで粘る。自分はしなきゃいけないことがある」