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「世界の工場」は譲らない中国、賃金上昇のデメリットを抑え込む“サービス”とは

2014.4.23

 中国は安価で豊富な労働力を武器に諸外国から巨額の投資を集め、「世界の工場」と呼ばれ続けてきた。ところが賃金の急激な上昇もあって、このところ海外からの投資には陰りが見え始めている。昨年はサービス業を中心とした第3次産業の国内総生産(GDP)シェアが初めて第2次産業を上回った。第2次産業はこのままずるずると後退し、「世界の工場」の名を返上することになるのだろうか。(フジサンケイビジネスアイ

 先進諸国では経済の発展に伴って第2次産業のシェアが減り、それに代わって第3次産業のシェアが高まっていく、というのが通常のパターンである。ところが中国の場合は第2次産業のシェアがむしろ拡大するという異例の発展をたどってきた。

 改革・開放政策が始まって間もない1990年の第2次産業のシェアは41.3%だったが2000年には45.9%に、さらに10年には46.7%へと伸ばしている。もちろん第3次産業も90年の31.5%から2000年に39.0%、10年に43.2%とシェアを伸ばしてはきたが、なかなか第2次産業を上回ることはできなかった。

 それが13年に初めて、第3次産業のシェアが46.1%となり、第2次産業の43.9%を抜いたのである。遅ればせながら中国も通常の発展パターンの仲間入りをしてきたといえよう。

 今年3月の全国人民代表大会全人代、国会に相当)で、李克強首相が読み上げた政府活動報告では、なんと「サービス」(中国語では服務)の言葉が30回以上も出てくる。中国もついに「世界の工場」を返上したか、と思ってしまう。

 だがよく読むと、「生産者向けのサービス業を優先的に発展させる」との目標を打ち出しているのだ。つまりサービス業の中でも、生活に密着した卸売り・小売りとか宿泊・飲食ではなく、生産に関連した交通運輸や通信、さらには金融とか情報・ソフトウエア関係の発展に重点を置こうとしている。

 安価な労働力というメリットは減ってきたが、それを生産関連のサービス業で補い、付加価値の高い製造業の発展を目指すということだろう。外資導入についても「サービス業の開放拡大」を推進して、引き続き外資の投資先第1候補の地位を維持しようとしている。一度つかんだ「世界の工場」の座は、形を変えながらもそう簡単には他国に譲れない、という意気込みであろうか。(元拓殖大学国際学部教授・藤村幸義)

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どうなんやろね。