仕事に“コミュ力”は本当に必要か?
プレジデントオンライン2014年2月6日(木)
個性はビジネスでは得か、損か? 強烈な個人は組織では潰されるのか? 多くのビジネスマンに支持されている書籍『おれが浮いてるわけがない。』(五十棲剛史著)の著者で船井総合研究所常務が個性とビジネス・組織について赤裸々に語る。周囲から“浮いてしまう”ほど強い個性ながら、他人の10倍稼いできたコンサルタントが考える、いまの時代のビジネスマンの在り方とは?
「浮かない」というのは、周りと同じことをしているということだ。
それで場の空気は保たれるかもしれない。しかし、それで何か得るものはあるのだろうか。
「みんなと同じ」から、イノベーションが生まれることはない。
無難にみんなと同じ選択をしているときに、もっと本質的なことがその裏には隠されているかもしれないのだ。
最近の就職活動で、面接官が重視することとして「コミュニケーション能力」を挙げることがある。
若者の間では「コミュ力」といわれ、就職するための必須条件ともいわれている。
しかし、仕事をするうえで、コミュニケーション能力がそんなに重要なのだろうか?
コミュニケーション能力がある人が、仕事ができるというのは幻想ではないだろうか。
仕事の内容によっては、コミュニケーション能力が大事なこともある。しかし、新卒の就職活動で、それが一番大事だといわれるほどのことはないと思う。
私自身、コミュニケーション能力が高い人間だとは思えない。むしろないほうかもしれない。
部下には話しかけづらいと思われていたし、物言いで人を不快にさせていたことも過去にはあった。
でも、不快にさせたくないと思って、何も言わなければ伝わらないのではないか?
相手をおもんぱかって、婉曲的な言い方をした結果、何も伝わらないのでは本末転倒だ。
それよりは、多少コミュニケーションしづらくても、既存の枠を超えた視点で何かを提案し、人が言いにくいと思っていることをずばっと指摘できる人のほうが、結果的に良い変化を組織にもたらしてくれるのではないか。
これまでの社会では、波風を立てなければそれだけで定年まで勤めることができた。大きなミスをやらかさなければ、大きな業績をあげなくてもよかったのだ。
今でも、出世レースというのは、上司に気に入られる人、すなわち余計なことはせず上の意図をくんで大胆なことはしない人のほうが、評価は高いのかもしれない。
しかし、それで、人と仲良くする力で出世競争を勝ち上がった人が社長になると、無難な決断しかできなくなる。
これが、今大企業が低迷している、一つの要因であると思う。
社員であっても、これからは波風立てず、言われたことをこなすだけでは、ある日突然リストラされることもあるかもしれない。
新しい価値を生み出せない人は、現状維持も危うい時代が来るだろう。