口にするだけで悪運を招く「残念な口ぐせ」
プレジデントオンライン2014年1月27日(月)
あなたは、次のような言葉を何気なく口にしていないだろうか。チェックしてから読み進めてほしい。
□弱点を克服したい
□じゃぁ、みんなで話すか
□……したのに
□人が足りません
□いつかは起業したい
□どうしたらいいですか?
□あいつ、使えない
□要は、こういうこと?
□ここだけの話だけど
□俺、寝てないんだよ
□でもさ……
□あー、私もね
■「残念な人」をつくる言葉
頑張っているものの、効率が悪かったり、優先順位が間違っていたりで、なかなか成果が出ない。高学歴でけっして頭は悪くない。それなのに、仕事ができない。こういう人を私は「残念な人」と呼んでいる。
残念な人には、その人を残念にしてしまう「口ぐせ」がある。それをまとめたのが図のチェックリストだ。
例えば、「じゃあ、みんなで話すか」が口ぐせの人は、問題解決力がないと考えたほうがいい。本当は自分が決めなければいけないことを決められないから、みんなで決めて、何かあったときの保険をかけているだけである。このタイプの人がよく口にする「みんなで考えたほうが、アイデアが出るから」という言葉は裏を返せば、「自分にアイデアがないからメンバーに出してもらいたい」という意味である。
会社のやり方や、上司の方針に不満を持つ人が、「ビジョンが見えません」ということがあるが、これも問題解決力が欠けている人に多い。この言葉にはかっこいい響きがあるが、これほど無責任な言葉もない。だいたいそういうことをいう人は、自分自身に明確なビジョンがない。もし、ビジョンを持っているのであれば、そのビジョンに基づいて、会社の業績を上げる提案と努力をすればいいだけの話。会社や上司にビジョンがないと嘆く前に、自分自身に果たしてビジョンがあるのか考えてみるといい。
■「のに思考」では何も解決せず
「……したのに」が口ぐせの「のに思考」の人は非常に多く、何でも人のせいにしたがる傾向がある。相手が自分の期待通りの行動をしてくれなかったからといって、「……したのに」といっても、物事は改善しない。「どうしたらうまくいくのか」を広い視野と想像力をもって考える力を欠いている。
「できません」という代わりに、「人が足りません」という人も同様だ。大抵の場合、足りないのは人ではなく能力だ。人が足りないという前に、仕事の効率化を見直してみることが大事だ。
「いつかは起業したい」という人は決断・実行力に欠ける。本当に起業したい人は、具体的に「○○をやりたい」を口ぐせにするといい。
また、なかなか起業できない人に、どうして起業したいのかと聞くと、「一国一城の主になりたい」「誰にも指図されず自由に働きたい」「今の会社の人間関係が不満だから」といった理由を挙げる。どういう会社をつくりたいかは後回しなのだ。こういう人に手を差し伸べる人はいないと心得たい。
「まだ本気出してないだけ」「やればできる」という人も、やってもできない場合が多い。今まで、特に何かを成し遂げたこともないのに「やればできる」という人は努力したことがないので自分の限界を知らない。限界を知るのが怖いから「まだ本気を出してないだけ」という。つまりこれは、永遠にできない人の口ぐせなのだ。
■マネジャー失格
マネジメント力の低い上司がよく使う言葉が「あいつ、使えない」である。部下の育成は上司の仕事と頭で理解していても、残念ながら、どんなに手を施してもなかなかできるようにならない部下はいるものである。「あいつ、使えない」と口に出したくなる気持ちもわからなくはないが、思ってもこの言葉を口にすべきではない。そもそも人はモノではない。手を尽くしてもどうにもならない場合に人事に掛け合うにしても、「彼(彼女)の適性を活かせる仕事がここにはない」とあくまでも「彼(彼女)のためにならない」というスタンスを貫こう。
新しい企画を提案しても「上は何て言うかな」という上司は、部下からの信頼を得られない。これも、マネジメント力の欠如が露呈した口ぐせだ。
■生き残れない経営者の言葉
また、「生き残りをかけて」と社員に語りかける経営者も同様だ。一見前向きに聞こえるが、生き残りを目標にする時点で、その会社は生き残れない可能性が高い。生き残りをかけるのは社内の問題であって、お客さんにとっては、まったく関係がないからだ。製品作りも同様の思考で行われている可能性が高い。つまり競合品と比較した機能追加、低リスク低予算を主眼に置いた商品作り。どこにもお客さんが欲しいものを作るという発想がない。そういう会社は遅かれ早かれ危機に瀕する。
■「ドラッカーも言ってる」
「ここだけの話ですが」といって秘密をバラす人は、相手から信用を得たくてしているのかもしれないが、本人の意図に反して信用を失う結果につながるので注意したい。信用を得る人は、あらゆる秘密を守る人である。
「俺、寝てないんだよ」が口ぐせの人も、時間の使い方に問題がある場合が多く、大事な仕事を任せるには頼りない。仕事が多くて大変なのではなくて、仕事ができなくて大変なのである。
「ドラッカーも言っている」などと、著名人の名言を引用して意見をいうと、そんな有名な人が言っているなら、と意見が通りやすいこともあるが、あまり多用すると、この人は自分の意見に自信がないテキトーな人と思われてしまうことにもなりかねない。
名言はあくまでも最後の一押し。必ず自分の経験と、考えた末に出た結論とセットで使うことだ。そもそも、しっかりとした論理と正しい結論があれば名言などなくても人に受け入れられるものである。
もう一つ、気をつけたいのが協調を乱す言葉。何をいっても「でもさ……」と否定から話す人は、皆から面白くないと思われている可能性が高い。
「あー、私もね」という口ぐせは、女性に多い。相手の話に同調する言葉なのだが、仕事の場面では問題が解決されない連想ゲーム型の会話に陥る危険性もあるので注意したい。
また、「私」で始まる会話をよくする人は、自分の話しかしないタイプが多い。
「何でこれやるんですか?」と上司に聞くのは、指示された仕事の重要度を知り、理解を高めるために必要でもあるが、「やりたくない」という意味を強調してしまうと、上司との関係がこじれるので要注意だ。
結構よく聞く残念な口ぐせ、安易に使っていないか、振り返ってみよう。
−−−−−−−−−−
…。