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小惑星DA14、観測史上最接近へ

2013年2月16日(日本時間)、観測史上最も地球に接近する小惑星「2012 DA14」の想像図(ナショナルジオグラフィック)

 2013年2月15日(日本時間16日)、小惑星「2012 DA14」が地球から2万7700キロの距離を通過する。

 2012 DA14の直径は約45メートル。アメリカン・フットボールの競技場の半分ぐらいだ。観測史上最も地球に接近し、通信衛星の軌道より内側を通るが、地球に衝突する恐れはない。

「この規模の小惑星がこんな側を通過するなんて、数十年に一度のことだろう」と、アメリカ、カリフォルニア州パサデナにあるNASAジェット推進研究所(JPL)地球近傍天体(NEO)プログラム事務局の研究員ポール・チョーダス(Paul Chodas)氏は話す。

 2012年2月、スペイン南部のラサグラ天文台(Observatorio Astronomico de La Sagra)が2012 DA14の存在を初めて報告。当時は、はるか420万キロ先を通り過ぎた直後だった。

 しかし1年後の米東部標準時2月15日午後2時24分(日本時間16日午前4時24分)には、東インド洋スマトラ沖の上空2万7700キロを通過するまで接近する見込みだ。月までの距離の10分の1しかない。

◆将来的に衝突の可能性も

 チョーダス氏のチームは2012 DA14の動きを常時監視している。軌道計算の結果を見る限り、地球衝突の可能性はないという。

 ただし将来的には、いずれかの天体が衝突する可能性も否定できない。このサイズの小惑星は小さすぎて観測が難しく、地球にかなり接近するまで検出できないからだ。

 今週の接近通過はそのまれな例で、同規模の天体としては史上最接近になる。

「今回は通過するだけだが、将来的にはわからない。現時点での軌道計算では、2080年に衝突する確率が20万分の1と出ている。ただし、数日中に正確な軌道を導き出せるので、そのわずかな可能性もすぐに排除できるだろう」とJPLのチョーダス氏は言う。

 NEOプログラムの責任者ドナルド・イヨマンズ(Donald Yeomans)氏は記者会見で、「この規模の天体が地球をヒットする確率は1200年に一度」と述べている。

 加えて、「2012 DA14は長い時間をかけて地球に近づいてきた。過去100年に今回ほどの接近はなく、今後100年も考えられない」と安心を呼びかけた。

 ただし、気象衛星通信衛星静止軌道の内側8000キロ付近を通過するため、各方面で監視が行われている。

「ぶつかることはまずないが、注意喚起の意味も込めて衛星運用者には情報を提供している」とイヨマンズ氏は語る。

◆大きな衝撃

 専門家によると、2012 DA14規模の天体が地球に衝突すると、TNT火薬換算で数百万トンの破壊力があるという。1908年のツングースカ大爆発に匹敵する。

 当時、小天体が空中で爆発したと考えられており、シベリアの森林が約1200平方キロにわたりなぎ倒された。

 仮に小惑星の直径が1キロだとすると、一時的に地球規模で気候が変化し、都市に落下すれば数百万人の死者が出るだろう。

 マサチューセッツケンブリッジにある小惑星センター所長、ティモシー・スパール(Timothy Spahr)氏は、「2012 DA14程度の小天体でも確率は数千年に一度。恐竜絶滅クラスの巨大天体は、軌道をすべて把握しているので心配は要らない」とコメントしている。