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抜かぬ官兵衛「説得の妙」、丸腰・礼を尽くして北条父子に開城させた“人間性”

産経新聞2014年1月1日(水)

 今年のNHK大河ドラマの主人公である戦国武将、黒田官兵衛孝高(よしたか)。秀吉に天下を取らせ、「希代の軍師」と称される。その戦略や信条などを「播磨の黒田武士顕彰会」理事、今藤(こんどう)久夫さんがシリーズで紹介する。

 官兵衛は播磨に生まれ、類まれな知力を駆使して戦国の世を戦い、福岡藩五十二万石の礎を築く。生涯で五十数回も戦いながら一度も負けなかった官兵衛はいかなる武将であったのか。そんな官兵衛の成功の秘訣(ひけつ)、人間像を「黒田家譜」、「ルイス・フロイスの日本史」などから探ってみる。

 官兵衛の作戦の最大の特徴は、できるだけ血を流さず、相手方を説得によって降伏させるよう全力を挙げ、「戦わずして勝つ」ことを目指す。しかし、時は戦国、説得には武力が必要である。

 通常は相手の城を囲むなどして圧力を加え、相手にこれ以上の戦いは無理と感じさせたころ合いを見て降伏交渉に持ち込む。武力は説得を成功させるための「伝家の宝刀」であり、できるだけ抜かないのが官兵衛流である。

 官兵衛の説得工作は播磨攻め、九州攻めなどで次々と成功を収める。数多の説得工作の中で最も有名なものが秀吉の天下統一の仕上げとなった小田原城攻めである。

 秀吉は20万余りの大軍で小田原城を取り囲んだが、堅固な小田原城はなかなか落城しなかった。そこで秀吉は力攻めをあきらめ、最後は官兵衛に説得を命ずる。大舞台での主役の登場である。

 官兵衛は丸腰で単身城内に乗り込み、礼を尽くして北条氏政、氏直父子に対面。大軍に包囲された北条氏にもはや勝ち目はないことを自覚させ、家名の存続、城兵の助命などを条件に説得、開城させる。

 金子堅太郎の「黒田如水伝」はこの時の官兵衛のせりふを「北条家目下の情態は、宛(あたか)も烈火を以て、釜中の魚を煮るが如(ごと)く、其(そ)の運命既に定まりたり」などと記す。官兵衛には北条氏から家伝の「日光一文字」の刀、鎌倉幕府の歴史書「吾妻鑑」、「白色の法螺(ほら)貝」が贈られ、今に伝わる。敗軍の将からこのような由緒ある家宝を贈られることは極めてまれである。

 説得工作がこのように成功する背景には官兵衛の理路整然とした弁舌があった。しかし、それ以上に相手の立場も思いやる官兵衛の誠実さ、人間性が相手の心を開いたことを見逃せない。官兵衛が説得時の約束を守り、降伏した武将も相応の立場が守られることが周辺にも伝わるため、相手も官兵衛の言葉を信用し、説得工作が次々に成功するのである。(播磨の黒田武士顕彰会理事 今藤久夫)

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明けましておめでとうございます。
本年初めの更新はこちらの記事からです。
仕事も私事も、最後の最後で決めるのはやはり人間性、なのかな?と思った記事です。
論理的思考、数的思考力、仮説思考、計画立案実行力、問題解決力等々いわゆる仕事力だけではなく、人間力も磨かなければなぁ、と…。