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IPCC報告書:温暖化、30年で許容上限 迅速対応迫る

 

毎日新聞 2014年11月02日 23時24分(最終更新 11月03日 10時19分)

 


 報告書は、温暖化の主な原因が人為である可能性が「極めて高い」(95%以上)と断定。産業革命(18〜19世紀)後の気温上昇を「2度未満」に抑える国際目標の達成には二酸化炭素(CO2)の総排出量を約2兆9000億トンにとどめる必要があると分析した。 国連の「気候変動に関する政府間パネルIPCC)」は2日、地球温暖化を巡る最新の研究成果をまとめた第5次統合報告書を公表した。今のペースで温室効果ガス排出が続けば、今世紀末には人々の健康や生態系に「深刻で広範囲にわたる後戻りできない影響が出る恐れ」が高まり、被害を軽減する適応策にも限界が生じると予測。その上で、気温上昇を抑えるために「多様な道筋がある」として、各国政府に迅速な実行を迫った。

 しかし、既に排出されたCO2は約1兆9000億トンで、余地は約1兆トン。2011年の世界の排出量約350億トンのペースが続けば、30年足らずで許容量の上限に達してしまう計算だ。

 2度目標達成には、世界全体の温室効果ガス排出量を50年に10年比で41〜72%、2100年には78〜118%削減する必要があると指摘。排出量を大きく左右する発電部門で省エネや再生可能エネルギーの導入を促進し、将来的にはCO2を回収・貯留する技術を大規模に普及させることが有効だとした。

 一方、有効な対策を取らない場合、今世紀末の世界の平均気温は2.6〜4.8度上昇。海面は最大82センチ上がる。2度以上の上昇で穀物生産に悪影響が表れ、4度以上で食糧安全保障に大きなリスクが生じるとした。さらに、アジアで暑熱による死亡率が非常に高まるなど、「温暖化の規模や速度が大きいほど、人が適応できる限界を超える可能性が増す」と警告した。

 第5次統合報告書は、昨年9月〜今年4月に順次公表された三つの作業部会の報告書をまとめたもので、第4次以来7年ぶりに公表された。新たな温暖化対策の国際枠組みの合意を目指す国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を来年末に控え、交渉に大きな影響を与えそうだ。

 デンマークで記者会見した国連潘基文(バン・キムン)事務総長は「科学者は、世界各国がすぐに行動を起こさなければならないと声を上げた。我々は手段を持っている。この機会を逃してはならない」と呼びかけた。【阿部周一、渡辺諒】

 【ことば】気候変動に関する政府間パネルIPCC

 地球温暖化の影響や被害の軽減策について、最新の科学的知見をまとめた統合報告書を、90年以降約5年おきに公表してきた。第5次は世界の800人を超す研究者らが約3万本の論文を基に執筆した。政策決定者向けに要点をまとめた「要約」は、総会に参加した全ての国の承認を経て公表され、温暖化の国際交渉や各国の対策の科学的な根拠となる。