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よく癇癪を起こす妻をなだめる魔法の言葉は

(プレジデントオンライン)PRESIDENT 2012年1月2日号 掲載

■怒りの9割は理解不能な生理現象

妻は癇癪持ち。自明の事実です。しかも、その怒りは竜巻級で対処を間違えると命が危ない。

では、どうすればいいか。対処の基本姿勢は、部下をマネジメントする際と同じです。

全国亭主関白協会会長の私に最近なぜか大企業からの講演オファーが舞い込みます。
月5回は全国各地へ出向きますが、その多くは、幹部職や中間管理職向けのリーダーシップ論を、というご要望。

経験豊富な企業の皆様に偉そうに御託を並べるのは気が引けますが、ちょっとだけお話をいたしますのは、「サーバント(召使い型)リーダーシップ」について。

これは、昨今話題の経営哲学で、「リーダーたる者、まずは相手に奉仕し、気持ちよくなってもらうことで、最終的にはこちらの意のままに動かす」といった主旨です。

つまり、支配型リーダーシップの対極。少し説明しますと、サーバントリーダーは、まず相手の話を拝聴し、相手の気持ちに共感することで、彼らが主体的に協力したくなる環境をつくることが……。

おい、ちょっと待て、天野。「亭主関白」とか言っておきながら、サーバントはないだろう。そう疑問に思われる読者も多いでしょう。

しかしながら当協会は妻を天皇とし、それに仕える関白である亭主の集い。
言うまでもなく、亭主の「家庭内生存率」は年を重ねるにつれ下がってゆくもの。その中で、いかに自主的に妻の尻に敷かれ、妻から笑顔を引き出すか。私も含め全国1万7000人もの会員がその秘策を披露しあい、亭主力を競っています。妻同様、「ままならぬ」存在である部下に手を焼くマネジメント層への講演は、日頃の成果のお裾分けなのです。

話を本題に戻しましょう。われわれの研究では、妻が腹を立てる原因の9割は深刻なものではない。亭主には理解不能なメカニズムによる生理現象なので、それに対して反論・言い訳は火に油の暴挙です。当協会のスローガンである「非勝(ひかつ)3原則」、(妻に)勝たない、勝てない、勝ちたくない、をぜひ毎日ご唱和していただきたい。嵐が去るのをじっと待つ。それしか道はないのです。「そうだね」「わかるよ」「その通り」と、頭を右下斜め45度にうつむかせながら。

その際、気をつけるべきは座り方。妻と正面で相対すると何が飛んでくるかわかりませんが、90度の位置にすると怒りの収束が比較的早いとの報告があります。

しかし、守りだけでは癇癪の回数は減りません。「カラスは白だよね?」と妻に言われれば、ためらいなくYESと言えるわれわれですが、実は密かに「攻撃」も仕掛けています。それは日頃からの妻への声がけ。

【1】(ためらわずに言う)ありがとう
【2】(恐れずに)ごめんなさい
【3】(照れずに)愛している

これを「愛の3原則」と呼んでいます。最初は口先だけでいい。気持ちなど少しも入ってなくていい。これらは、妻たちが一番聞きたい癒やしの言葉なのです。

講演先で「結婚20数年、『ありがとう』と言った記憶がない」と答えた部長さんがいました。たった5文字です。それで少しでも家庭円満というリターンが得られるのなら、実行すべきでしょう。

ただし、妻へ送る言葉によっては、かえって怒りを買うケースもあるから注意が必要です。例えば、よかれと思って言う「何か、手伝おうか?」。これは、最大の地雷のひとつ。妻は、亭主の善意の裏に「手伝ってやる」という人を上から見下ろす目線が隠されていると、断固主張するのです。

やっかいな生き物です。しかし、家庭を顧みないわれわれにも落ち度はある。「外でペコペコ、家では暴君」といった亭主も少なくない昨今ですが、男たる者、戦いは外で、家では尻に敷かれるが一番。

帰りが遅くなったときのスイーツ土産は会員の常識ですが、その際も妻と子供には2個購入し、自分は1個だけ(奇数個購入作戦)。犠牲心を前面に押し出しましょう。サーバントの誇り高き精神を見せつけていけば、妻もいつか亭主の度量に気づき、癇癪を起こさなくなる……わけないか。

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わけない。

なんてむなしい記事なんだ、と思いつつも、
「非勝3原則」…(妻に)勝たない、勝てない、勝ちたくない
に共感してしまう情けない自分が…。

そうかー、「何か手伝おうか?」は地雷かー。
下に下に言ってんだけどなぁ…。