さんぽ

環境関連、武術、その他、気になったことをつれづれに。

観客騒然の演出も。TM NETWORKの日本武道館公演が開幕

なんかえらく懐かしい方々が。
嫁がえらく好きでもあり、嫁のCDが家のどこかにある(はず)。
久々に聞きたくなった(が、探すの面倒だな)。

−−−−−−−−−−
TM NETWORK日本武道館公演<TM NETWORK CONCERT -Incubation Period->が、4月24日に開催された。彼らが日本武道館でライヴを行なったのは、約4年ぶり。当日、開演前にはTM NETWORKを心待ちにした1万人のオーディエンス、FANKSが田安門をくぐり抜けて、武道館へと足を運んだ。

2日間開催のライヴは、4月24日の公演が前編で、翌25日が後編という位置づけ。そのため、セットリストも、演出も、音も、前編と後編では一部異なったものになるという。また、ライヴは地球潜伏30年目を迎えて任務完了となった2014年のTM NETWORKが、タイムマシンで時間を2年間(730日)巻き戻した、2012年の話(という設定)。ライヴの始まりは同時に、残された730日という物語の始まりなのだ。

なお、以下は24日のライヴレポートとなる。セットリストこそ掲載していないが、もちろんネタバレが存分に含まれているので、まっさらな状態で25日の公演を楽しみたい人は、ここで一度ページを閉じることをおすすめする。

  ◆  ◆  ◆

赤、青、紫のジャケットに身を包んだ宇都宮隆木根尚登、そして小室哲哉が、“母船”からの光に包まれてステージに降り立つ。TM NETWORKの再始動、そして単独公演を待ちわびたオーディエンスからは早くも大歓声が上がる。1曲目は「Fool On The Planet」。TM NETWORKの“特別な日本武道館公演”での「Fool On The Planet」といえば、1987年、初の単独武道館公演となった<TM NETWORK FANKS CRY-MAX>の、一度閉じた幕が再び開いた瞬間を思い出した人もいたはずだ。

2007年発表の「ACTION」から1985年発表「永遠のパスポート」まで、まるで時間を自由に行き来するかのように作品が披露されるライヴ前半。中でも触れておかないといけないのが「Love Train」だろう。

大盛上がりの中、迎えたエンディング部分で、突如、音が飛んだかのように音圧が急激に下がる。異変に気づくメンバーとスタッフ。そしてオーディエンス。すぐさまクラップと合唱が巻き起こり、音がほとんどない状況ながら曲は終了する。しかし、機材トラブルのような様相を呈しているステージ。3人は一度ステージから姿を消して、武道館の客電がつく。“ライヴ中止”という言葉までも脳裏にちらついて騒然とする1万人からは、復旧を待つ手拍子が沸き起こる。そしてしばらくして、小室が姿を見せ、そして宇都宮、木根もステージイン。小室はキーボードを確かめるように鍵盤を叩き、そして何事もなかったように「Kiss You」へ。

実はこれ、4月24日の演出のひとつ。今回のライヴという形で展開された物語に即して考えてみると、1984年から始まった時間の流れの中で世間に発表した作品に、2012年のステージから縦横無尽にアクセスしてみせたTM NETWORK。彼らからの、「技術や科学の力」への警告のひとつだったのかもしれない。もっともそれは、<LOG-ON to 21st Century>のようなIT社会、情報社会への警告、といった深刻なものではなく、「未来といえども、科学技術(コンピューター)にはトラブルはある」といったような。

「2012年、3人がここに立てて、こんなにたくさんの人が来てくれて幸せです。この曲が生まれたのは必然でしょう。皆も好きになってくれていると思います。」

TM NETWORKから「I am」という最新のメッセージを介して、ステージ上で交差する過去と現在。28年という歳月を経て、彼らとともにオーディエンスひとりひとりも大人になり、アイデンティティもあの頃より少しだけ確立された。しかし一方で、今も日常生活の中で、自分を見失いそうになる瞬間がある。見えない力に流されそうな時がある。この日の「I am」は、そんな戦い続けたオーディエンスに「前を向いて行こう」と背中を押すかのような響きがあった。

「この先、起きるであろう困難に、勝利していくために必要なものは、自分たちを信じる心。」

後半は、今回のライヴを通じてTM NETWORKからの「人間とは、どんな困難も乗り越えることが出来る素晴らしい生き物である」というメッセージに向かって突き進むセットリストが並ぶ。小室哲哉がキーボードに感情を叩きつければ、あの聴きなれたインパクトあるフレーズが問答無用にオーディエンスひとりひとりの中に衝動を引き起こす「Get Wild」。「Wild Heaven」では会場中が明るく照らされて、天井までぎっしりと埋め尽くした1万人が口々に歌いながら、突き上げた手が揺れる。多幸感に包まれたその光景は、まさに壮観の一言(余談だが、同曲を作詞した小室みつ子 氏も、同じようにこの景色を感慨深げに眺めていたのが印象的だった)。そして「Welcome to the FANKS!」という宇都宮の呼びかけからの「Be Together」で、武道館は完全に熱狂(言い換えるなら“エモーションはフォルテッシモ”)。一面が大きなフロアと化したかのような錯覚の中、誰もが心地良い音の粒、ビートの波に体を委ね、声を上げて体の奥底から酔いしれた。

最後、「Electric Prophet」を歌い終わった宇都宮がステージ上で手紙を拾う。横から覗きこむ小室と木根。そして、手紙をしまい、母船へと消えていく3人。24日の前編は、そんな「To be continued...」で幕を閉じた。これが何を意味するのかは、25日の後編で明らかになるのかもしれない。

なお、4月25日の公演は、日本全国および香港、台湾の映画館で同時生中継される。また同公演の模様は6月17日21:00よりWOWOWで独占放送されることも決定している。

「母船から降りたTM NETWORKの3人のパフォーマンス、観客の皆さんに驚いてもらえるような演出を10ぐらいはちりばめていたので、驚いたり楽しんでいただけたなら幸せです。明日も違う演出を考えているので、これからまた音を修正するつもりです。できれば明日(4月25日)は映画館でポップコーンでも食べながら、自分の姿を観てみたいとも思いますが。」── 小室哲哉

  ◆  ◆  ◆

TM NETWORKの「Crazy for you」という曲の中で、こんなやりとりがある。

「1万人の中にひとり?」
「目が合ったら、手、振るからさ。」

4月24日、<TM NETWORK CONCERT -Incubation Period->1日目。誰もが、1万人の中のひとり。そして、間違いなくTM NETWORKに“Crazy for you”だった。
−−−−−−−−−−

DVD、出たら観てみようか。