PRESIDENT Online スペシャル 掲載

■「自信がない」は幼少期に作られる思い込み

なぜ、落ち込みやすいのか? 悩みやすいのか? 無力感の元は、「自己評価」にあります。今回は自己評価を高めるために、というテーマで書きたいと思います。

人は、子どものころに3つの思い込みをつくると言われています。それは、「世界」「自分自身」「他人」に関してです。

世界は危険に満ちあふれているという見方もあれば、世界は愛に満ちあふれているという見方もあります。

他人は親切だと思う人もいれば、他人を見たら泥棒と思えという人もいます。

性悪説性善説のように、どのように解釈するかで自分たちの周りに集まる人や出来事はどんどん変わっていくものです。

このコアビリーフと呼ばれる3つの解釈「世の中」「自分」「他人」のうちでも最も自分に影響を与えるのは自分に対する解釈です。

自分に対する解釈はごく幼少期に作り上げてしまうものです。家庭環境や親の考え方、言葉が、その人の自分に対する解釈にそのまま大きな影響を与えます。

先日も、父親が教師である方(男性)から次のような話を聞きました。

その男性は子どもの頃、しばしば父親から「お前は段取りが悪い」「意気地がない」と言われたそうです。そしてそれでは言い足りないのか、父親は母親に「お前の育て方が悪い」と責めました。その様子を見て、「僕がダメだから、お父さんが怒り、お母さんが怒られる」と自分を責めたそうです。

今は、とても元気はつらつ、自信があるように見えるのですが、それでも、他人と話をするときに多少苦痛があるそうです。それは、何か言うことで、「ダメな自分が露呈してしまうのではないか?」という恐怖心があるからなのです。

程度の差はあれ、このように、子どもの頃の親の言葉や考え方が自己評価を作り上げることがあります。

■やり手ベンチャー社長は自己評価が低い?

さて、では自信満々であればいいのでしょうか。実は、そうではないのです。

自信満々な人、例えば常に目標達成を追い求めている人も、自己評価が高いとは言い切れません。なぜなら、上記の例と逆で他人の欠点と自分の長所を比べて「自分は優れている」と確認したいといった心理的な背景が見られるケースがあるからです。

その頑張りは、強迫観念的な努力という側面があります。いわば「目標達成中毒」のような状況になるのは、低い自己評価から逃れて、見事目標に到達した高い自己評価イメージに融合したいからなのです。

多くの成功しているベンチャー企業の社長の本を取材・執筆している方によれば、彼ら・彼女らは、子どもの頃、親に認められなかったり、極貧生活を送ったりするケースが多いそうです。

そうした過去から脱出したいという願望が、「目標達成中毒」ともいえる莫大な上昇志向のエネルギーを生み出すことがあるのです。

言ってみれば、彼ら・彼女らは、等身大の自分では生きられていない。それは自己評価が安定していないということであり、その結果、目標達成で何とかバランスを取ろうと必死に「努力」するのです。

▼等身大の自分を愛する生き方

詩人・作家であるオスカー・ワイルドはこんな名言を残しています。

「自分を愛するというのは一生続くロマンスの始まりだ」

仮に幼少期に「お前はダメだ」というレッテルを張られて、それが本人の根強い信念となっていたとしても、それを全て親のせいにはできません。両親も良かれと思って頑張らせようとした「愛のムチ」であるだろうからです。

一方、大人になってからの自己評価については自分で責任を持たなければなりません。しかし通常、自己評価はあまり意識しておらず、「これが自分の性格だ」と思っているので自己評価を変えられると考えている人はほとんどいません。

ところが、自己評価を高め安定させることは、次のような習慣を着実に積み重ねることで可能になります。私がクライアントとのセッションで自己評価を扱うときの3つのポイントをご紹介しましょう。

■自己評価を高め、安定させる習慣3

(1)多様な自分を受け入れる

心理学には、多重自己という考え方があります。簡単に言えば、自己評価が高い人は、長所も短所も自分であると多面的に受け入れているということです。

〈長所〉
・ 完璧主義な自分
・ 従順な自分
・ 頑張り屋な自分
・ 他人の成功を喜べる自分
・ 貢献したいという自分
・ とても規律正しい自分
・ 誠実な自分

〈短所〉
・ だらしない自分
・ 寂しがり屋な自分
・ 嫉妬する自分
・ 自分だけが成功したいと思う自分
・ 人より優越感を感じていたい自分
・ 不遜な自分

様々な側面を持った自分が存在します。そして、不思議なことに短所だと思っているところが他人から見ると魅力に映ることもあります。

あなたが好きな自分と否定している自分をたくさん書き出してください。そして全てをあるがままに取り入れることが重要です。

(2)差ではなく違いと捉える

自己評価は他人との比較で揺れ動くことが多い。

自己評価が低い人は、他人と比較して「自分はここがダメだ」と自己否定に走りがちです。その多くは、他人の長所と自分の短所を比較して、わざわざ自己否定をするのです。

なぜならば、自分が信じた自分を自己立証しようという働きがあるからです。つまり、無意識にダメな自分を確認し立証しようとし続けるのです。

しかし、人には「差」があるのではなく「違い」があるだけなのです。飲み会で幹事をやって、締めの挨拶で笑いを取って仕切れる人はかっこいいでしょう。しかし、縁の下の力持ちで店を見つけたり、参加者の食の好みを事前に確認したり、店内で1人寂しそうにしている人の話し相手になってあげたりする人も必要なのです。

それぞれに自分らしさという違いがあるだけなのですが、私たちは差として見てしまうのです。

私は、他人と比べて落ち込むときには、過去の自分と比較してくださいと言います。そして、自分史上最高を目指すことをすすめます。そうすると不思議なぐらいに劣等感から解放されます。

■伸びる大人は、小さなOKを5つ自分に出す

(3)小さなオッケーを積み重ねる

自己評価が低い人は、自分にNGを出す回数が多く、自分にオッケーを出す回数が極端に少ないのです。

そこでおすすめは、毎日、今日1日で良かったこと、成長できたことを小さなレベルでいいので書き出してみることです。自分に小さなオッケーを出す練習です。

感情は思考の焦点をどこに向けるかで決まります。

良かったこと、感謝できることに思考を向けるのか。その反対に悪かったこと、出来なかったこと、不運なことに思考を向けるのかで1日の気分は全く違ったものになります。

自己評価を一瞬で変えることはできません。

しかし、3カ月間、毎日小さなオッケーを出すことを積み重ねることで自己評価は上昇し安定していきます。

最初は課題やできなかったことばかりが目につきますが、自分に5つのオッケーを出せることは何かと問いながら書き続けることで、思考の焦点が自然に変わり、1日の感情体験も随分違ったものになります。

自信を持ちたい方は、ぜひ上記3つのポイントを参考にして、書く習慣から始めてみて下さい。

ーーーーーーーーーー

なんかいい記事だった。

自分にも子供にも、道場の子供にも適応できるかな。