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日本刀ですさまじい「居合斬り」をはなつロボット--安川電機が開発

2015年6月8日 / 17:00    インターネットコム編集部


日本刀を構えたロボットが、熟練の剣士のように「居合斬り」を披露する。にわかには信じがたいような動画を、産業用ロボットメーカーの安川電機が公開した。

日本刀ですさまじい「居合斬り」をはなつロボット--安川電機が開発
ロボットによる剣技

同社が立ち上げた創立100周年記念企画「YASKAWA BUSHIDO PROJECT」の一環。産業用ロボット「MOTOMAN-MH24」が、居合術家、町井勲さんの剣技を忠実に再現しようという取り組みだ。

剣士の動きをコピーするため、ロボットの俊敏性、正確性、しなやかさを高度に引き出し、性能限界を試す意味もある。

町井勲さん(左)と MOTOMAN-MH24(右)
町井勲さん(左)と MOTOMAN-MH24(右)

具体的には、居合術の基本形である「四方斬り」をはじめ、「袈裟斬り」「斬り上げ」「水平斬り」、そして世界初の試みとなる「人間とロボットによる千本斬り」に挑戦した。

まずは町井勲さんの袈裟斬り
まずは町井勲さんの袈裟斬り

 この斬れ味
この斬れ味

お次は MOTOMAN-MH24
お次は  MOTOMAN-MH24

お見事
お見事

動画ではあざやかな腕前を示しているロボットだが、実際に成功するまでには苦労が多かったそう。

まずは町井勲さんの剣技をモーションキャプチャーにより記録し、3D 解析。そのデータをもとにプログラミングを行った。

モーションキャプチャーと 3D 解析を駆使
モーションキャプチャーと3D 解析を駆使

動きをコピー
動きをコピー

だが、初めは竹や藁を一向に斬れず、刀を何本も駄目にしては、刀鍛冶に直してもらったという。さらに町井さんに協力を仰ぎながら刀の入射角度や速度の調整を繰り返し、ようやく斬れるようになった。

人間の動きは素早くても非常に繊細。ロボットがすべてをコピーしようとすると、そのための演算に時間がかかり過ぎ、高速で刀を振り切れない。対策として物を裁断する幅約 30cm の動きだけに絞り込み演算を行ったそう。

それでも人とは違いロボットでは切り損じた時にかかる刀への負担が大きく、大きく刀を曲げてしまったこともあったとか。しかし最後には、1mm 単位で正確に狙った部分を斬れるようになった。

ただ、ようやくロボットが剣技を修めた際は、すでにスケジュール上、動画撮影の直前になっていたそう。

念のため、カメラマンは時に甲冑を身に纏い、他スタッフは全員透明アクリル盾の後ろに待機しながらの撮影となった。

スタッフも時に甲冑をまとって撮影したそう
スタッフも時に甲冑をまとって撮影したそう

予定にあった袈裟斬り、斬り上げ、水平斬りはとどこおりなくできたが、千本斬りは一筋縄で行かず、町井氏は息を荒くさせつつ時々止まり、ロボットも作業限界を超える状況になったが、どちらも力を振り絞って最後までやり遂げたという。

千本斬り達成は大変
千本斬り達成は大変