都心が暑くなるヒートアイランド現象を逆手に取って、ビルの屋上で熱帯原産の高級青菜を作ろう−−。東京都中野区江古田でそんな試みが広がっている。屋上緑化はいまや珍しくないが、ここの特徴は「空心菜」を水耕栽培すること。無農薬で年8回も収穫できるうえ、作業に住民が参加して地域交流にも一役買う、味わい深い試みだ。

 事業を行うのは区内のNPO法人「グリーンサイエンス21」(海老江邦雄理事長)。副理事長で水道コンサルタント会社に勤務した技術者の海賀(かいが)信好さん(72)が2009年、区立中で環境教育を頼まれた際に栽培を試行。翌年には区役所屋上にも広がり、区民公益活動推進基金の助成を受けて事業化した。

 エスニック料理や中華料理に使われる空心菜は、東南アジアに自生する。「熱帯夜が続く都心の屋上は生育に絶好の環境です」と海賀さん。誰でも栽培できる方法をと考え、水耕栽培にたどり着いた。縦93センチ、横30センチ、高さ22センチの発泡スチロール容器のふたに穴を開ける▽5〜6月に容器1個に14本の苗を植え、窒素やリンなどの肥料を溶かした水を深さ11〜13センチに張る−−。それだけで、7月には収穫できるほど成長する。

 しかも、ふたの上に伸びた部分を刈り取ると残った根から再び葉が育ち、10月末まで2週間ごとに計8回収穫できる。1回の収穫量は14本で800グラム超。1年で7キロ近いという。土で育てるより茎が柔らかく、食べやすいのが特徴で「電気も農薬も使わない、安全な新鮮野菜」とPRする。

 昨年は江古田の区立第七中や関東バス丸山営業所、高齢者施設「江古田の森」の屋上で栽培し、800キロ以上を収穫した。今年の目標は1トンだ。

 「地域を守る・きず菜ちゃんプロジェクト」と名付け、地域活動を重視している。学校では周辺をはじめとした市民参加で、施設では入居者も加わって大勢で収穫する。観察会など理科教育にも生かしている。維持費を賄うため年間1口3000円のオーナー制度も設け、区外からの応募もあるという。海賀さんは「“みんなの畑”を作る地域活動として応用できると思う。商店街などにも協力を仰ぎ、中野発の野菜として広めたい」と話す。

 

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趣味でできんかな、これ。

やる場所がない。

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