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オリンピック選手に学ぶやり遂げる力

プレジデントオンライン2014年6月12日(木)09:22
PRESIDENT 2014年3月31日号 掲載

ソチ五輪の熱戦を、夢中になって見た、という方は多いのではないか。

羽生結弦選手の、男子フィギュアの金メダルは素晴らしかった。また、残念ながらメダルには届かなかったけれども、浅田真央選手のフリーにおける渾身の演技も、見ていて涙が出た。

スキージャンプの「レジェンド」葛西紀明選手の、41歳を超えてのメダルは感動したし、冬のオリンピック史上日本人選手として最年少での、平野歩夢選手のスノーボードでのメダルにも、大いに元気づけられた。

私たちは、なぜ、オリンピックを見て、感動するのだろう? アスリートたちの大活躍に、どうして胸を躍らせるのだろうか? そこに、私たち人間誰にとっても参考になり、インスピレーションともなる「生き方」が表れているからではないかと思う。「遠い目標」のために、「今、ここ」を頑張る。それが、アスリートの生き方。メダルを獲得することはもちろん、オリンピックに出場すること自体が、若いアスリートにとっては遙かに遠い目標だ。

その、最初は幻のような目標に向かって、少しずつ、自分の技を磨き、体力を高め、運動能力を積み上げることで、初めてオリンピックへの出場が可能になる。このような、「遠い目標」を目指して「今、ここ」を努力するという生き方は、私たち一人ひとりにとっての1つのインスピレーションとなる。

仕事をするうえで、苦しいことはたくさんあるだろう。辞めたいと思ったり、逃げ出したいと感じることもある。そんなときでも、遠い目標があれば、耐えられる。何よりも毎日の努力に、意味が生まれる。

遠い目標は、社内の立身出世だけとは限らない。自分で会社をつくって大きくするという夢を持つ人もいるだろうし、イノベーションを起こすこと、世のために人のために役に立つことを目指す人もいる。

それは、漠然とした抽象的なイメージかもしれないし、鮮明で具体的な課題かもしれない。遠い目標があるからこそ、今、ここの苦しさに耐えられる。オリンピック出場のアスリートたちから学べる生き方が、ここにある。

オリンピックに出場し、メダルを獲得したアスリートたちには、「遠い目標」を目指す、「根拠のない自信」があったという人たちが多い。根拠のない自信があるからこそ、それを裏付ける努力もできる。必ずそこに行けると信じているからこそ、苦しい練習にも耐えることができる。根拠のない自信が、遠い目標に向かって努力をするための「安全基地」になってくれるのだ。

すぐれたアスリートが共通して持っている資質がもう1つ。根拠のない自信を持ちつつも、今の自分には「ダメ出し」ができるということ。目標に対して、どこが足りないのか、何が欠けているのかを、冷静に見つめることができる。

アスリートが、インタビューなどで慎重な言い回しをすることが多いのも、自分の現状を冷静に見ているからである。大言壮語しても、実際にできないと仕方がない。実際に何かをするには、具体的に積み上げるしかない。自分で体を張っているアスリートは、それを知っている。

以上のポイントをまとめよう。遠い目標のために、今、ここを頑張る。根拠のない自信を、努力のための安全基地にする。今の自分に対して、ダメ出しをすることができる。

ソチ五輪は終わったが、こんなアスリートたちの生き方を参考にして、私たちの一人ひとりの「人生のオリンピック」で大いに活躍したい。