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温暖化の熱の一部は海中に潜んでいる?

2014年2月12日 14:06 (ナショナルジオグラフィック)
 地球温暖化に由来するエネルギーの大部分が、近年は太平洋の水面下に潜んでおり、いずれその熱が一気に放出されるおそれがあることが、最新の研究によって指摘された。

 研究によると、赤道付近を吹く貿易風は、過去20年間にわたって太平洋上で激しさを増しており、その結果、海中に追い込まれる熱量が以前よりも多くなっているという。

 2001年以降、地表の平均気温の上昇は以前よりも緩やかになっている。気候変動に懐疑的な陣営は、この「停滞」を根拠に、地球温暖化は収束したと主張している。この冬、アメリカを記録的寒波が襲っていることも、こうした主張の補足材料となっている。

 だが地球温暖化が収束していないのは明らかだ。観測史上の年平均気温の上位10カ年は、いずれも1998年以降の年代が占めており、2010年が過去最高となっている。熱を閉じ込めてしまう温室効果ガスの濃度は、依然として上昇を続けている。にもかかわらず気温の上昇ペースが以前よりも落ち着いているのはなぜか、気象学者らは研究を急いでいる。

 研究の蓄積によって、数値に現れないでいる熱量の一部が、太平洋に潜んでいる可能性が浮かび上がった。

■海中の熱の移動
 今回の研究は、オーストラリア研究会議(ARC)気候システム科学センター(CoECSS)のマシュー・イングランド(Matthew England)氏がリーダーとなって行ったもの。研究チームは、観測データと詳細なコンピューター・シミュレーションを用いて、地表の気温に対する貿易風の影響を明らかにした。赤道付近を西向きに吹く貿易風によって、温かい海水が押し流され、太平洋西部に溜まっているという。

 1990年代以降、貿易風は激しさを増しており、一部地域では50%も加速している。この「強い貿易風によって、太平洋の赤道付近では、比較的低温の海水が海面近くまで上昇し、(従来よりも)多くの熱量が海中へと送り込まれている」と、研究の共著者である米国立大気研究センター(NCAR)のジェラルド・ミール(Gerald Meehl)氏は言う。

 その結果、地球温暖化に由来する熱のうち、数値に現れていない部分は、太平洋西部の海中深くに蓄えられることになったとイングランド氏らは主張する。研究チームの試算によると、貿易風の激化によって、地表の平均気温は全世界で摂氏0.1〜0.2度低下したという。「2001年以降に観測された地表の温暖化の中断の大部分を説明する」には十分な数値だと論文には書かれている。

「この20年ほどの(貿易)風の激化がなければ、おそらく最近の10年間には、かなりの気温上昇が観測されていただろう」とイングランド氏は言う。

■下降したものはいずれ上昇する
 貿易風が激化した原因のひとつは、「太平洋数十年規模振動(IPO)」という、エルニーニョ現象に似た自然な周期的気候変動であるとイングランド氏は言う。ただし、ここまで風が強くなったのは観測史上先例がなく、その原因は十分には解明されていない。原因の特定が重要なのは、それが分かれば、貿易風が再び弱まる時期を予測できる可能性があるためだ。貿易風が弱まると、現在太平洋に蓄えられている熱の再放出につながるおそれがある。

「熱を海底に送り込み続けることはできない。年々送り込んでいけば、いつかは熱が再び大気と接触し、気温を上昇させるのを目の当たりにすることになる」とイングランド氏は言う。

「いずれ、中断などなかったかのように、気温は上昇するだろう。(中断が)終わるのが数年後のことか10年後のことかは分からないが、いずれにせよ私たちの研究では、その後の温暖化はかなり急激なものになると予測されている」とイングランド氏は言う。

 地球温暖化の中断の原因を貿易風の激化によって説明した今回の論文は、「Nature Climate Change」誌オンライン版に2月9日付けで掲載された。