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会社をダメにする上司 「MKノー」の口癖とは? 横山 信弘 | 経営コンサルタント


それでうまくいったなんて「見たことも、聞いたこともない」……

■「MKノー」とは「見たこともない、聞いたこともない」
私は企業の現場に入り、目標予算を絶対達成させるコンサルタントです。「絶対達成」というわけですから、かなり大胆な組織改革をする場合も出てきます。その際に、困るのは評論家ぶった経営幹部、管理職の存在。新しいアイデアに対する評論・コメントは出すのに、代替案を示さない。「どうすれば変えられるか」「どうすれば達成するか」という前向きな思考がなく、とにかく批判だけする人もいます。このような人が経営の中枢にいると、会社は内部から腐っていきます。

さて今回は、コメンテーター幹部、批判だけする上司たちの代表的な口癖「MKノー(エム・ケー・ノー)」を紹介します。「MKノー」とは、

「見たこともない、聞いたこともない」

の略です。

「そんなやり方でうまくいったなんて話、聞いたこともない」
「その方法を取り入れて成功した会社なんて、見たこともない」

という感じに使われます。私はその発言を耳にすると条件反射で「あなたが見たことがないから……、どうしたんですか?」と尋ねたくなります。組織を変えるうえで何らかのアイデアを提示され、瞬間的に体が拒否反応を示し、そのまま言葉として出てきただけです。つまり頭の中で咀嚼されていないため、このような発言が出てくるのです。

■「MKノー」の事例
たとえば、私が経営幹部に以下のような進言をしたとします。

「調査してみたところ、御社の課長が1週間に費やす会議の平均時間が17時間だと判明しました。この時間を半分に削減し、営業との帯同訪問に当てます。具体的に減らす会議はお手元の資料に記しました」

「どれも必要な会議だ。課長には全員出席してもらう。だいたい、会議を減らしてうまくいったなんて話、聞いたこともない」

このように「MKノー」が出てきます。体が反応しているだけなので、論拠も何もありません。私は次のように話を続けます。

「その資料に書いてあるとおり、品質管理部と商品開発部との会議はオブザーバー参加であり、この会議だけで7時間も奪われています。4人の課長全員が出席していますので、計28時間も日中の大事な時間が会議によって喪失しています」

「そう言われても、こういう会議は出たほうがいいんですよ。あなたは私の業界のことがわからないから品質管理部や開発部との会議がどれぐらい大切かわからんのです」

「品質管理部と商品開発部の責任者とも打合せをし、全課長に出席を要請したことは一度もない。ある時期から何となく出てもらうようになったので、常務さえ承認していただければ議事録だけを共有すれば問題ないと言われています」

「あいつらは、まだこの会議の重要性がわかってないんですよ。とにかく、会議を軽視してうまくいった管理者なんて見たこともないんだから」

……このように、「変えたくないものは変えたくない」「とにかく現状のままがいい」という心理……現状維持バイアスがかかっていると、後付けで「意味の偽造」を繰り返します。まともそうな「論拠」が出てくるのならまだマシですが、反論する論拠が瞬時に見つからないため、苦し紛れの抵抗になります。

論拠は「ファクト(事実)」でなければならない
「見たこともない、聞いたこともない」というのは、きわめてレベルの低い反論と言えるでしょう。

現場に出て積極的に問題点を共有したり、それを改善しようと、いろいろな情報・方法論を収集している人は「MKノー」が口癖にはなりません。過去の成功体験や実績ばかり重んじている人、前例がないことは受け入れられないという習慣の人ほど「MKノー」がついつい出てしまうのです。

いろいろな規模、業界の企業に入って、組織改革を経験しましたが「MKノー」を口にする上司は、特に上層部に多く、苦労します。反論の論拠が「見たこともない、聞いたこともない」ですから、まともな議論ができません。論拠は、客観的なデータに基づくファクト(事実)でなければならないのです。

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いるの、そんな人本当に…。
自分もそんな人にならないように気を付けないとな。