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転職コンサルタントは見た! 絶対に転職で不幸になる人の特徴

 

皆さん、こんにちは。転職コンサルタントの丸山貴宏です。30代以上を中心とした転職エージェント、クライス&カンパニーの社長を務めています。

大学卒業後にリクルートへ入社した私は、7年間にわたり人事担当責任者として、同社の急成長を支えるべく多様な人材採用を行いました。その後、クライス・アンド・カンパニーを設立し、これまでに2万人以上の方にキャリアコンサルティングを行っています。

先日まで大人の転職をテーマにした連載「35歳からの転職力養成講座」をお届けしてきました。今回からは、35歳からの転職が当たり前となり、その手法も多様化した今、どうすれば「幸せな転職」ができ、「不幸な転職」を避けられるのか、その方法をお伝えしたいと考えています。どうぞお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

初回である今回は、そもそも転職をすべきではない「絶対転職に失敗する人」の特徴をご紹介します。

転職はできても
「幸せ」になれるとは限らない

 転職活動を一生懸命おこなって他の会社に転職できても、必ず「幸せ」になれるとは限りません。つまり、内定を獲得し他社へ移ることには成功しても、結果として不幸になってしまう人が少なからず存在するのです。

 その意味では、転職活動に失敗する人とは、(1)転職できてもその後がうまくいかない人、(2)転職活動をしても内定を獲得できない人という2つに分けられます。今回は(1)についてお話しましょう。

 転職した後がうまくいかない人の典型的なケースは、転職の目的がはっきりしていない人です。そんな人がいるのかと思われるかもしれませんが、エージェントに自ら面談しにきた候補者でも「なぜ転職したいのかわからない」という人はけっこういるものです。あいまいな不安から転職活動に走る、といったパターンは珍しくありません。

 転職の目的がはっきりしていない人は、転職理由や応募した会社への志望動機もはっきりせず、パンチがありません。それでも内定が出ることはあるので、動機がふわふわしたまま転職してしまう。そうすると新しい職場でも結局、「この会社も何か違うな……」となんとなく不安で満足できないという前職と同じ状態に陥るのです。

 転職とはキャリアにおける問題解決方法の一つで、しかも最終的な手段に近い強烈な方法です。それにもかかわらず「自分はどの問題を解決したいのか?」が明確でなければ、その転職が成功かどうかの検証すらできません。

小さな不満に過剰反応すると
どんな会社に転職しても満足できない

 転職できても幸せになれない人には、別のパターンもあります。それは「他責」な人、不平不満が先に立ってしまう人です。

 以前、転職して最初は好調だったものの、入社して3ヵ月を過ぎたあたりから社長の悪口を言い始め、4ヵ月目には「ひどい会社だ!」と批判するようになった人がいました。この人をAさんとしましょう。Aさんは結局、1年もたずに退職してさらに別の会社に転職していきました。

 私もAさんの話を最初に聞いたときは「ひどい会社なのかな」と思いましたが、Aさんと同じ時期に入社したBさんに話を聞くと「彼が言うほどひどい会社ではありません」とのこと。そしてAさんは新たな転職先も、1年ほどで辞めていきました。

 「こちらもひどい会社でした」とAさんは憤っていましたが、どうやらAさんは何か問題があると過剰に反応し、どんな会社へ行っても不平不満が出てしまう傾向の持ち主でした。その根底には「悪いのは他人のせい、環境のせい」という他責の精神があり、これではどんな会社に転職してもうまくいきません。

 そもそもパーフェクトに問題が解決される転職などあり得ません。転職は問題解決方法の一つと述べましたが、転職してある問題は解決されても別のポイントが新たな問題になることはよくあります。いまの会社で満足しているポイントはなかなか自覚できないもので、転職してはじめて新しい会社にはそのポイントが欠けていることに気づくのです。

 たとえば前職でアシスタント業務に従事していた女性が「第一線の仕事をしたい」という理由で転職したケースがあります。彼女はキャリアを積めるということで喜んでバリバリ働いていたのですがある日、お子さんが熱を出したため一時間ほど遅刻しました。

 前職ではフレックスタイム制だったので、いつもより一時間遅れても遅刻になりませんでした。しかし転職先では定時出勤なので遅刻か半休の扱いしかできず、その分給料も減りました。こうした「前職では当たり前だったが転職先では当たり前でないこと」は事前に確認するにも限界があります。なぜなら、それがあるのが当たり前だと思い込んでいるからです。

 もし不満なポイントが自分にとって非常に重要な問題であれば、次の転職を考えることも選択肢に入るかもしれません。しかしそれほど重要ではない不満に過剰反応していると、どんな会社に転職しても不満だらけという結果に陥ります。

転職という問題解決方法は
最終的な手段であると心得よ!

 転職の目的がはっきりしないタイプや不満に過剰反応するタイプの問題は、それが理由で短期間の間に転職を繰り返す可能性が大きくなることです。特別な理由もなく短期間に3回も転職していると「この人、何か問題があるんじゃないか……」と思われるようになってしまいます。よりよい環境を求めて転職したはずが、自分のキャリアを傷つける結果になってしまうのです。

 このような事態を防ぐには、転職の前にやるべきことをきちんと行ってから転職活動に入ることが大切です。それは何かというと現状の課題や自分が不満に思っていることをはっきりさせ、その解決に動くことです。

 転職を検討している人はいま問題だと思っていることについて上司と話し合ったり、周囲に働きかけて改善しようとしたりしているかどうか、自分の身を振り返ってみてください。そうした動きが実を結ばなかったときにはじめて、転職という問題解決手段の出番となるのです。

このプロセスを経なければ、転職してもなかなかうまくいきません。

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当たり前のことだけど、いざの時忘れないように。