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錦織も成長「セルフコントロール」の重要性

JIJICO2014年9月25日(木)12:00

自分の考え方や価値観が壁になり、力を発揮できないことも

全米オープンテニス2014で錦織圭選手がやってくれました。グランドスラムで日本人初、アジア人初の決勝進出で、準優勝という快挙です。

彼は、どのようにして、このような素晴らしい結果を創ることができたのでしょうか。それは技術力と共に、メンタリティの向上も大きな要因として挙げられると思います。メンタリティというと、気持ちや感情のことが大きく取り上げられがちですが、物事に対する考え方や捉え方もとても重要です。

いつのまにか身に付いてしまった自分の考え方や価値観が壁になり、本来の能力を発揮できなくさせてしまうことがあります。マイケル・チャンコーチが錦織選手に言った言葉に、この要素が見て取れます。「憧れの選手(フェデラー)と決勝で当たれることに満足して戦う前から負けている」「過去の実績なんか試合に関係ない」。これらは、錦織選手がフェデラー選手に対し、「自分が倒す相手と捉えていないこと」「格上だから自分が勝つのは難しいと自分でも気づいていないうちに考えてしまっていること」を指摘しています。こういった考え方が壁となり、気持ちを揺るがし行動に影響を与え、自分のパフォーマンスを発揮しきれないようにしてしまうのです。

余計な考えにとらわれることなく「今にい続ける」ことができるか

ですから、単にメンタルが強い・弱いということではなく、自分の価値観に気づき、感情や思考、行動をどう適切にコントロール(セルフコントロール)できるかどうかがメンタリティの向上につながるのです。

その点で言えば、準々決勝のワウリンカ戦(世界4位)、準決勝のジョコビッチ戦(世界1位)での錦織選手は、相手にセットを取られても集中力を切らさず、自分のプレーを続け、余計な考えにとらわれることなく終始「今にい続ける」ことができていたように思います。セルフコントロールができていたことで自分が本来持っている能力を最大限に発揮でき、格上の相手にも勝利することができたのでしょう。

一方、決勝チリッチ戦(世界16位)ではどうだったのでしょうか。錦織選手自身が後のインタビューで、「夢の舞台で胸が苦しくなったり、寝付けなかった」「気持ちの面で整理できなかった」「(試合中)いろいろ考えてしまった」と言っていたように、セルフコントロールができていなかったことが垣間見えます。

いろいろと考えてしまうというのはありがちなことです。錦織選手がそう考えていたかどうかはわかりませんが、よくあるのは、例えば「この選手には以前勝ったことがあるのだから勝てるはずだ」「ここまで来れたんだから十分じゃないか」「負けられない」と、今考えなくてもいいことを考えてしまうことです。考えている時「今にいる」ことができていません。集中できていない状態では結果には結びつきにくいものです。

自分の価値観を見つめ、メンタリティの向上を

能力があるにも関わらずセルフコントロールを適切にできていないことで能力が発揮されず、自分が出したい結果を手に入れられないことは、とても残念なことです。自分の価値観を見つめ、メンタリティを向上させていきましょう。

テニス界の価値観としては、今回の錦織選手の全米オープンでの準優勝が、「グランドスラムで日本人が上位に入るのは難しい」という壁を突破しました。そして今後、錦織選手はクリアな状態でセルフコントロールすることができれば、本来の能力を最大限に発揮することができ、必ず優勝を手にすることができることでしょう。そのときが楽しみです。