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日本の人材紹介業は「いびつな構造」?

 管理職層に特化した会員制の転職サイトを運営する「ビズリーチ」。創業者の南壮一郎(37)は楽天イーグルスの創設に携わったのち、同社を立ち上げた。しかし起業に至った経緯には、人材紹介業に対する「違和感」があったという。

 南の楽天退社は2007年春。まずは自分の市場価値を知ろうと、複数のヘッドハンターに会った。

「刺激的で面白い仕事を紹介してください」

 そう頼むと、全員が違う仕事を勧めてきて、こう言った。

「あなたにはこの仕事がぴったりだと思いますよ」

 違和感を感じ、人材紹介業のことを調べると、いびつな構造が見えた。多くの紹介会社は、依頼を受けたクライアント企業からの報酬の多寡に応じて、勧める求人に差をつけていたのだ。求職者からすれば、すべての「選択肢」が示されず、最善の転職のチャンスを逃してしまいかねないわけだ。そもそも事業づくりの根幹である人材採用を、企業が紹介会社に丸投げしていることに愕然とした。

 海外の人材業界も調べると、理想のモデルが見つかった。ラダーズ・ドットコムやモンスター・ドットコムといった転職サイトだ。そこでは企業は求人を、求職者は自身のプロフィルを公開し、双方が直接、採用交渉を行える場になっていた。この世界観を日本でも再現しようと考えた。グローバル化が進む中、求められるのはビジネスのプロフェッショナル。求職者の登録条件を年収750万円以上、求人は1千万円以上の管理職層に限定し、09年4月に転職サイト「ビズリーチ」をオープンさせた。

 人材紹介業を介さないビジネスモデルは、関係者から冷ややかな目で見られた。だが今、サイトには大企業の役員経験者や海外工場を立ち上げた技術者など約20万人が登録する。国内最大級の高度人材のデータベースとして、国内外の企業が注目する存在になった。