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豆腐店、続々廃業「365日働いても利益ない」経営が苦しい中、豆腐作りに精を出す業者

豆腐業者が倒産や廃業に追い込まれるケースが増えている。大豆価格の高騰に加え、スーパーから値下げを求められるなどして経営が悪化し、豆腐業者はこの10年間に全国で約5000軒が廃業。今年8月に破産申請をした都内の業者は「365日丸々働いても利益が出なかった」と苦しい日々を打ち明けた。

1957年創業の豆腐業者「仙台屋本店」(東京都三鷹市、8月に自己破産申請)の及川英一さん(37)は、大学を卒業した3年後から、祖父が開業した同店で父親とともに働いてきた。

従業員は最大20人で1日2000丁を製造してスーパーに卸すほか、10年前には杉並区のJR阿佐ヶ谷駅近くなどに三つの直売店を開設。豆腐を加工した食材なども手がけ、好調な時は年4億円を売り上げた。

だが、5年前から輸入大豆の価格が高騰。豆腐の一部を別の業者から安く仕入れて費用を下げるなどしたが、3年前には3店舗とも閉鎖。デフレの影響でスーパーからも値下げの要請を受けたが、経営が苦しいため、むしろ値上げしてほしいと相談すると、取引が打ち切られた。

スーパーの中には協賛金の名目で売り上げの7%の「上納」を求めたり、売れ残った分は買い上げてくれずに丸ごと負担させたりするところもあった。

今年になって、外国産大豆はさらに値上がりし、1〜9月末の平均価格は1キロ当たり84・2円で、この10年で最高値となった。国産大豆もそれに合わせて値上がりし、経営を圧迫した。

給与の支払いも遅れ、6月になると従業員も5人にまで減った。及川さんは「365日丸々働いてももう利益が出ない。事業継続は厳しい」と伝えると、残った5人からは「我々も休みをつぶして働くから、何とかならないか」と懇願された。だが、事業が好転する可能性はなく、8月に自己破産を申請した。

及川さんは、「豆腐の安売りが激しくなっており、どこも経営が苦しい。適正な価格でスーパーに卸すなど販売価格を見直さないと、豆腐屋はいずれなくなってしまう」と吐露した。

厚生労働省の集計では、全国の豆腐業者は12年度は9059軒となり、03年度(1万4016軒)より4957軒減った。

全国豆腐連合会(東京)は、来年4月からの消費増税分を価格に転嫁できるよう流通業界に理解を求めている。同会は「年間500軒のペースで業者が廃業している。食の安全、安心を守るためにぎりぎりの経営を続けていることを知ってもらいたい」と話している。