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逆境にあっても、不快を「快」に変えられるか

プレジデントオンライン2013年10月10日(木)

不運をチャンスに変えられる人とは、どのような人だろうか。

東海地方で医療法人を経営するY理事長の年収は1億7000万円。そのY理事長から聞いた話をお伝えしよう。理事長の専門分野でもある「扁桃核」に関連する話だ。

扁桃核とは、脳の中央部に位置する器官で、私たちが何かを見たり聞いたり、感じたりしたときに、それが好きか嫌いか、快か不快かを瞬時に判断する役割をもっている。そして、人間は、ほとんどこの扁桃核の判断で行動している。

たとえば、私たちがある絵画を見て心地よいと感じたとする。なぜそう思ったのかと聞かれると、いろんな理由を答える。「淡い色合いが好きだ」とか、「モチーフが好きだ」といった具合だ。ところが、そうした理由はぜんぶ嘘なのだそうだ。

これには、扁桃核の隣に位置する海馬との関係がある。

海馬は記憶を司る器官で、ここには過去の体験などのデータが収められている。

この海馬と扁桃核は、相互に影響し合っている。扁桃核は好き嫌いや快不快の感情を海馬に伝え、海馬がそれを記憶する。海馬には、かつて見て心地よいと感じた絵のデータも蓄積されているのだ。

そして、私たちがある絵画を見たときに、海馬はかつて見た同じような絵の記憶をたぐりよせ、それが心地よかったことを、扁桃核に伝える。それによって、快不快を扁桃核が一瞬で判断する。

つまり、快か不快かは、見た瞬間に決まっているのである。だから、その絵画がなぜ心地よいかという理由をいくら述べたところで、それらはじつはすべて、あとづけされたものにすぎないのだという。

同じことは、つき合う人を選ぶときにも起きる。つまり、私たちの脳には、自分にとって快な人のタイプと不快な人のタイプが記憶されていて、初対面の人に会ったときでも、瞬時に好き嫌いを判断してしまうのだ。

ところが、嫌いな人とのつき合いはなるべく避けたいと思っても、仕事で会う人ともなると、そうはいかない。もし、そこに、やることなすこと大嫌いな人間がいたとしたらどうか。それでも、どうにかして不快を快に変えるしかない。

これは人との出会いに限らず、事柄に関しても同じだ。

多くの人は、過去に失敗したケースと同じような場面に遭遇したときには、瞬時に不快の感情がよみがえり、思わず避けようとするか、苦手意識を感じながらもほどほどに対処することになる。

ところが、こうしたときでも、不快を快に変えるしかない。

Y理事長によると、それが自然にできるのが、1億円以上を稼ぎ続ける人だという。

そして、不快を快に変える思考を続けていくと、何が起きるかというと、すばらしい人とのつながりや出会い、あるいはビジネスのチャンスが、偶然を超えて、あちらこちらで降ってくるようになる。

Y理事長は、それを日常的に体験しているのだそうだ。まさに、とてつもなく稼ぐ人だけが見ることのできる景色である。