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IPCC報告 深刻な温暖化にどう備えるか(10月4日付・読売社説)

 地球温暖化対策の重要性が改めて示されたと言えるだろう。

 国連の「気候変動に関する政府間パネルIPCC)」が、地球温暖化の現状と将来に関する最新の科学的見解をまとめた。

 石油や石炭など化石燃料の大量消費により、二酸化炭素(CO2)の排出量が増大し、地球規模の温暖化が引き起こされている可能性が極めて高い、と結論づけた。

 十分な対策を講じないと、今世紀末の世界の平均気温は、1986〜2005年の平均に比べ、最大4・8度上がると予測した。世界中で熱波や豪雨が増える可能性が非常に高いとも警告した。

 海面も今世紀末には最大82センチ上昇する。夏の北極海の海氷も遠からず消滅する恐れがある。

 極めて深刻な地球の未来図を描き出したと言えよう。

 報告書は5〜6年ごとに見直されている。今回は、温暖化について、「95%以上の確率」で人間の活動が原因とし、これまでで最も強く人類の責任を指摘した。

 すでに生じている影響にも触れた。例えば、1950年以降、アジア、欧州、豪州で熱波の期間と頻度が増えているという。

 日本でも今夏、記録的な豪雨や竜巻が連続して発生した。現時点では温暖化の影響と断じられないものの、異変を実感している人は多いのではないか。

 予測には不確かな部分もある。IPCCは195か国の政府が関与し、中立公正を標榜ひょうぼうしているが、見解への異論は少なくない。前回の報告書では、データの不適切な扱いが問題になった。

 今回は報告書の作成段階で草稿を広く公開するなど、手続きを改善した。信頼を取り戻そうというIPCCの姿勢がうかがえる。

 報告書は、最大限の対策を取れば、今世紀末の気温上昇を0・3〜1・7度に抑えられると試算している。有効な対策が急務だ。

 焦点は、国連気候変動枠組み条約締約国会議の交渉の行方だ。対策の柱だった京都議定書に代わり、2020年にスタート予定の新たな枠組みが重要になる。

 京都議定書では温室効果ガスの削減義務を負っていない2大排出国の中国、米国など、すべての主要排出国が参加する実効性のある枠組みにせねばならない。

 無論、新たな枠組みが発効するまでの間も、各国は可能な限り対策に取り組む必要がある。

 温暖化対策には、発電時にCO2を排出しない原子力発電の活用も欠かせない。