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35歳からの転職で年収が上がる人、下がる人

 転職希望者の方に転職の理由を直接お聞きすると、日本人のほとんどの方は「年収が一番の理由ではない」とお答えになります。しかし、無記名のアンケートを取ると、必ずと言っていいほど転職理由の1位になるのが「年収」です。もちろん、仕事のやりがいと年収のバランスが大事なのは言うまでもありません。それも理解した上で考えても、本音では年収が最も気になるものですよね。

●この5年で30代年収は約40万円ダウン 転職で年収はほとんど上がらない

アベノミクス」が掲げられて以降、給料が引き上げられそうなムードが漂いはじめています。とはいいながら、今も転職時に年収が上がることは少ないと言っていいでしょう。上がるパターンは、?そもそも現職の給料が著しく低かった、?競合や近い領域への転職で、採用する企業側のニーズが高く、ヘッドハンティングで声がかかった、?採用企業の賃金テーブルが業界内で非常に高い会社。このような場合のみです。

 ?は、旅行代理店やウェディング業界などが該当することがあります。?は採用企業側から見て会社の業績に直結する重要な方になるため、業界でも話題の優秀な方の場合は、年収をアップさせてでもとにかく欲しいと経営者の方から頼まれることもあります。?はSNS系の大手企業などが該当します。

 2012年度の平均年収は、DODAの調査を引用すると、20〜59歳の平均年収(手取りではなく支給額)は442万円(平均年齢33歳)。昨年の446万円から4万円減少し、3年連続のマイナスとなりました。また、リーマン・ショック以前の2007年からの平均年収の推移を見ると、20代が343万円(2007年比−24万円)、30代は458万円(2007年比−43万円)、40代は608万円(2007年比−62万円)、50代は754万円(2007年比−48万円)と、5年前より大きく減少しています。

 ひと昔前は年功序列型賃金制をうたっていた会社も少なくなりつつあり、現実は厳しいものがあります。アベノミクス以降、ローソンのように経営者自らが年収アップを宣言した会社もあるものの、決して多数派ではなく、“次の不況”に備えている経営者も多いと感じています。

 実際に私がお会いしている経営者の方々も、ソーシャルゲームを中心とした明らかに利益率の高い業態、利益が伸張している会社以外は、慎重な給料の分配をしています。こうした経営者が中途採用者を採るときの決まり文句は「人物次第、前職考慮で」です。

●目先の年収にとらわれると失敗する

 このように年収が上がりにくい時代でも、転職後に「転職して良かった」という方には特徴があります。第二新卒の方などは何度も転職ができますので、思いつめずに決断ができるかもしれませんが、30歳を過ぎれば家庭を持つ方も多く、慎重になるのは当然です。では、どんな方であれば、金銭面も含めて納得した転職ができるのでしょうか。

−35歳以上の転職に納得している人の特徴

?会社の課題を自分が解決できる(強みと弱みが凹凸になっている)

 会社の課題、弱点を転職者自身が補填できる場合は、良い転職になるケースが多いといえます。自分しかできない、オンリーワンの立ち位置でジョインすれば、会社はあなたを手放せなくなります。営業会社なら管理、技術会社ならセールス、マーケティングなどの職種の方などがこれにあたります。

 20代の転職では、より優秀な方がいる会社に(転職したい)という想いを持つ方が少なくないわけですが、30代以降の転職ではあくまで「自分が貢献できるか」を重視したほうがうまくいくようです。

?「年収だけ」にこだわらない

 このような時代ですので、目先の年収が下がってしまうことも多々あります。たとえダウンしても今の時代、現状維持もできなくなる可能性が高いといえます。そう考えますと、次の職場でいったん給料がダウンしても自分の強みを発揮して、会社に貢献し、幹部クラスになれると自信が持てれば、転職するのもありだと思います。

?「ポジションだけ」にこだわらない

 当初から「役員でジョインしたい」「本部長でジョインしたい」と肩書き、役割をとても重視する方も多くいます。確かに肩書きでつきあいやすくなるお客様もいるのは事実ですが、あくまでもその会社の事情をよくみた上で、自力が発揮できそうかどうかを判断したほうが良いでしょう。

 また、社長だけに会って転職を決めるのではなく、他の幹部や社員の方にもできるだけお会いすることをお勧めします。幹部として転職しますと、最初は周りが腕組みをして情報を出してくれないこともよくあります。嫉妬とはかなり怖いものです。実力よりひとつ下ぐらいのポジションで入っても、時間がたてば多くの組織では実力通りに反映されることが多いですので、短期的な目線になりすぎないことが大事だと思います。

 ポイントを3つ書きましたが、いずれにしても35歳以上の方は、会社をすぐに辞めないことこそ大事です。情報を集めたり、ヘッドハンターに会うのもよいですが、間違っても次の会社が決まっていないにもかかわらず辞表を出してしまったり、辞めることを口走らないように気をつけましょう。