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39歳は、「オレがオレが!」と私欲をぎらぎら言える最後の年かも

柳澤 大輔 ビジネスという奇妙な冒険より
 そういえば先月39歳になりました。30代最後の年だということで、こりゃぼやぼやして過ごせないぞと思いましたが、多分またあっという間に1年経ち、気づいたら終わってるんだろうなという気もしています。

 ソフトバンクの孫さんは、「20代で名乗りを上げる。 30代で軍資金を貯める。 40代で一勝負かける。 50代で事業を完成させる。 60代で継承させる。」という人生設計を考えたそうです。はたして僕には、カヤックを立ち上げる時にそういった絵はあったでしょうか。否。

 そもそも「何をするかよりも誰とするか」という思いだけで立ち上げたわけですから、そういった計画性とは無縁の世界でスタートしています。向上心はあるので毎年昨年の自分を超えようと真剣に取り組む真摯さはありますが、ここまで行こうと目標や計画性をもってやるというよりは、どこまでいけるんだろう…いけるとこまでいってみよう…とそんな思いで今できることに集中してきました。

 しかも意外にしつこくこつこつやる才能も持ち合わせています。なんせこの毎週1回の連載も7年以上続けて一度も原稿を落としたことはありません。

 しかも、この原稿を書いていて気づきましたが、今年の8月でカヤックも15周年!いやぁ、毎年毎年ここまでこられただけでも、もっけもんと常にそんな思いでやっているんですけどね。

 しかしながら、考えてみれば、計画性がなく今できることに全力でスピード感をもって動くことこそが強みになる世界と一方で、何十年先までみて動かなければいけない世界があります。例えば僕らが力を入れているコンテンツ業界は前者である方がむしろ強くなり、逆にコンテンツよりもインフラ業界に近づくにつれて計画性が重要になってくる世界に入るのだと思います。

 そんな風に我武者羅にかけぬけてきたわけですが、そんな僕も20代の頃にぼんやりと思っていたことがありました。

■50代、60代の時、私欲の固まりだったらいやだなぁ

 それは、年をとって、自分のことだけしか考えていないような私欲の塊のような人間だったら嫌だなあ。ということです。想像してみてください。例えば50代60代の人が、自分の欲望のためだけにギラギラ動いているのを見るとなんとなくがっかりしませんか。何歳をすぎても情熱をもって精力的に動いているのが悪いわけではありませんし、隠居しろということでもありません。私欲は若いうちに一端蹴りをつけ、年を取ったら、私心なく世のため人のために動いている人間である方が美しくないでしょか。

 20代30代は比較的オレオレと自分中心でがんばるのはありだと思います。いや、むしろその方が自然です。特に男は単純に自分がどこまで強いんだろうとか、ほかの人にできないことをどこまでできるんだろうとか、自分の腕試ししてみたい好奇心が時に強いからです。

 最近は20代30代でもNPOソーシャルアントレプレナーのように公共性のあることに情熱をもっている人も増えてきています。が、その人たちに私欲がないかというとそういうことではなく、そういったソーシャルビジネスの方が単純にかっこいいと思っているからという人もいるでしょうし、若いうちはそれが1つの自己表現でもあり、それによって例えば名声を高めたい、社会に貢献している実感をもちたい、という人も少なからずいるのだと思います。むしろ20代30代はそれがない方がおかしいし、そんな風に自分中心でいいと思うのです。

 でも、40代すぎたあたりからはそうも言ってはいられません。自分のことばかり言っているのではなく、そろそろ自分のことは二の次にするフェーズに入っていかねばならない。そんな気がします。

■39歳、はオレオレとぎらぎら言える最後の年

 ところが、40代は仕事をしている人にとっては結構油ののっている時期ですから自分がどこまでできるんだろうと腕試しをしてみたい気持ちも強い時期、なかなか私欲は止まりません。でも、その一方で、40代というと、人によっては結婚して子供がいて子育てが続いている時期でもあり、子供のために自分を二の次にするというメカニズムは経験している人も多くなるともいえます。そして50代60代に入ってくると子供も大きくなるから、次は世のため人のためというフェーズに入ってくる。そのように考えると、この30代最後の今年はオレオレとギラギラ言える最後の年で、次の10年は自分の私欲にけりをつけるための助走期間にしたいと思っています。

 ・・・なんてことを39歳の誕生日を迎え考えていたのですが、いやいや、そんな壮大な話ではなく、もう少し身近な話を今日は書いてみたいと思います。

 それは、年をとったおっさんが美しくないと言われてしまわないように気をつけなければいけないこととその対策です。

 ここに書いたことは、考えてみれば僕が20代のときにおっさんたちと飲みにいって感じていたことです。自戒の念でかみしめたいと思います。

戒め■自慢話をしない。

 自慢話というのは話す方は本当に気持ちがいいです。僕も大好きです。オレってすごくない?って話は話していて気持ちがいい。そのように考えると、もし自慢話をする相手が本当に心が優しく共感性が高い方であれば、話している自分が気持ちよくなっていることが、既に相手の幸せと感じてくれる方であるケースもあるので、自慢話をすればするほど相手も喜んでくれるというケースもあります。ですが、そんな相手はまず滅多にいません。自慢話というのはどうやっても聞いている方はつまらないものです。

 そこで気を付けないといけないのは、年をとると自慢話が増えてくることです。ほんとに気をつけないとならない。でも、これは致し方ない部分もある。例えば40代の人が20代の人と話すとき、40代の人間が自分の方が人生経験も多いので、どうせなら自分を尊敬してもらいたいなんてよこしまな気持ちが少しでもあった上で、飲みになんていくと、相手が全然こちらのすごさに気がつかないことがあるので、ついつい仕方なく見せていこうとおもって、自慢話が増えます。

 そしてようやく「すごいっすね」といってもらえるので、なんとかなってきたぞ…ということで自慢話が増える。ところが、それが逆効果。相手は「すごいっすね」と言葉とはうらはらに実は「自慢話多すぎ…だよ、おいっ」と思っているケースが多い。これは美しくない。

 そこで解決策です。どうしても自慢話をしなければならないシチュエーションなら、その自慢に至るまでのつらい話をメインにする。おそらく自慢話というのはその自慢に至るまでは結構苦しい話もあるはずなんです。

 最終的には乗り越えているので自慢話になっちゃうんですが、苦しい話をしようと焦点をあわせていると比較的自慢話じゃなく聞こえるから不思議です。

戒め■著名人とマブダチだぜ

 それからもう1つ自慢話に分類される話の1つに、「自分はあの著名人とマブダチだぜ」という話があります。これも聞いている方は意外につまらない。なんせ、世の中には、たった1度しか会ったことのない人をさも仲の良い親友のように自慢する人も意外といますし、そういうのも気をつけなければならない。

 ただ、でも一方で、話している方は必ずしも自慢話という意識はないんだろうと思います。よくよく考えると、年をとると自分の知っている人や同年代の人が自然と世の中に活躍するような状況になってくる。そう考えると、そりゃ仲の良い同級生がそりゃ有名になって活躍していれば純粋にうれしいからついつい話たくなるんだろうと思います。

 ただ、聞いている方にはどうしても人脈自慢に聞こえることがあるので要注意。

 で。これを回避する方法はないのか考えたのですが、なかなかないです。ただ人と人が集まると人の噂話に結局話がはずむし、他人の話は面白いのでなかなかこれは回避できないかもしれません。

戒め■同じ話をしない。

 次に、年をとって気を付けなければならないのは、同じ話を繰り返ししてしまうことです。これもほんとに気をつけないとならない。ほんとに。

 若い頃は誰にどの話をしたかを鮮明に覚えていたものでした、だけども僕も最早誰にどんな話をしたかなんて全く覚えていません。気をつけないとその本人に聞いた話なのに、その本人にある知人から聞いた話なんだけどね・・・っていってその本人に話してしまう始末。

 同じ話を聞かされた相手の身になってください。相手が真剣に話しているときに、その話は以前聞きましたよ…と、水をさすのはなかなかできないものです。相手もきっと苦しんでいるはずです。

 また、同じ話をしてしまうというのは相手をがっかりさせてしまうリスクもある。例えば1年ぶりにあった人と話した時に、相手が1年前と同じ話をしていると、この人全く成長しないでまだ同じ思想に凝り固まってるんだな…と思ってしまう。これは僕が20代の頃に感じた話ですが、世界は変化し、人は変化しているもの、1年も前は僕そんなこと言ってましたっけ?っていった方が変化しているんだなぁ…と相手の成長を実感できる。これが同じことを言っていると古臭い人間に思えてしまう。
これはこれで美しくありません。

 話している相手が自分より年上だったり同年代であればいいんです。相手も同じ話をしてくるケースが多いですし、こちらが話した話も相手は覚えてない可能性がある。なので比較的脇は甘くて大丈夫。一方で相手が自分より若い時は要注意です。確実に自分よりも記憶力があります。同じ話を常にしていなか脇をしめていく必要がある。

ではどのように脇をしめたらいいのでしょうか。

戒め■過去半年の出来事しか話をしない

 大胆な策として話す話は過去半年間ぐらいの話しかしない。と決めるということもいいですね。昔の話をするのは自分にとって印象深く残っている話というのは一緒ですので、かなりの確率で同じエピソードを話すことになってしまいます。だったら常に最新の話をするようにしておくこと。

 がいいのかもしれません。

 …と書いてみたものの多分それは無理なので、やはり、必ず何かエピソードを話すときは、「この話ししましたよね」と何度か間にはさんで、「はい聞きました」と相手に言いやすいシチュエーションを演出してあげるというのが最善の策でしょうかね。

 以上、おじさんが人と話すときに気をつけなければならないこと。美しくないこと。そして、その対策を書いてみました。が、そもそも、年をとると美しいとか美しくないとかどうでもよくなってきて、相手にどう思われてもいいという風になってくるという根本的な問題がありますね。

 そして、どんどん人の話を聞かなくなっていく。そして、相手に興味のない話を永遠に話し続けてしまって、相手が辟易するということもよくある。

 ん?待てよ。一生懸命ここまで書いてきましたが、この内容もまさに…。

 30代最後の年を精いっぱい頑張りたいと思います。