さんぽ

環境関連、武術、その他、気になったことをつれづれに。

外資の土地買収 「安全と水」守る法整備を 2013.4.1

 防衛拠点の周辺や水源地のある森林などが、中国をはじめ外国の資本に相次ぎ買収されている。安倍晋三首相が、そうした買収に規制の網をかける新たな法整備に取り組む姿勢を表明した。

 事はわが国の安全保障の問題である。首相には実効性ある対策を早急に講じてもらいたい。

 安倍首相は参院の質疑で、外国人や外国資本を理由にした土地取得制限は困難としつつも、国防や水資源確保のための制限は必要とし、「新たな法整備に向けてしっかり研究していく」と述べた。

 私有財産である土地の取引は原則自由である。だが、国土の安全を損なったり、国防や公共秩序を阻害したりする恐れがある場合、その取引に歯止めをかける制度が必要なのはいうまでもない。

 北海道で自衛隊施設近くの広い土地を外資が所有していたほか、平成23年末までに全国で49件、計760ヘクタールの森林が外資に買収された。転売が繰り返されて、所有者不明の土地も広大だという。

 国は昨年4月、森林所有者に届け出を義務づける森林法改正を行った。しかし、取引自体に歯止めをかけたとはいえず、水源周辺の公有地化や独自の条例で規制の強化を図る自治体も現れている。

 日本の脅威といえる中国が動いたりその影がちらついたりする取引もある。中国大使館は都心の一等地を購入して国会で批判され、名古屋の国有地などの買収に出て地元に反対されている。日本は中国で土地を取得できないのに中国は日本の土地を所有できる。相互主義に反している。

 米国は包括通商法で、国家安全保障を脅かす懸念がある場合、事後でも土地取引を無効にできる権限を、大統領に与えている。

 実際、昨秋、中国系企業がオレゴン州の米軍施設近くの風力発電関連企業4社を買収したところ、オバマ大統領は安全保障上の理由で、それに待ったをかけた。

 米国は世界貿易機関WTO)にも、土地の自由取引に多くの例外を設けて加盟している。

 日本は土地取引に条件を付けず加盟した。外資規制を難しくしているのは、WTO規定に抵触しかねないためでもある。

 しかし、国防や公益を阻害する取引を外資か否かを問わず認めない法整備なら可能だ。国家として喫緊の課題である。米国の例などを参考に実現してほしい。