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気候変動の影響で今後も異常気象が増加

2013年2月20日 (ナショナルジオグラフィック)

2月9日、猛吹雪「ネモ」が襲ったアメリカ、メイン州ポートランド。気候変動の影響により、嵐や熱波、干ばつといった過酷な天候が増加すると予測されている。 Photograph by Greta Rybus, Sipa/AP (ナショナルジオグラフィック)

 山火事、干ばつ、暴風雨、・・・。2012年は異常気象を伝えるニュースが相次いだが、最新の研究によると、気候変動の影響により、過酷な天候は今後も増加していくという。

 2月15日、アメリカのマサチューセッツ州ボストンで開催されたアメリカ科学振興協会(AAAS)の年次大会において、「国内至る所で厳しい異常気象が発生しているが、どのようなタイプの異常気象に直面するかは地域によって大きく異なる」との報告があった。

 イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の地球科学者ドナルド・ウェブルズ(Donald Wuebbles)氏は、「全土で熱波の発生頻度が高まっており、西部ではこの10年前後に熱波発生数の最高記録が打ち立てられている」と話す。

 一方、中西部や北東部ではそれぞれ45%増、74%増となっているが、1950年以降最悪の集中豪雨も経験している。

 テキサス州カレッジステーションのテキサスA&M大学の気候学者ジョン・ニールセン・ギャモン(John Nielsen-Gammon)氏は、「2011年にテキサス州を苦しめた厳しい干ばつは、ニューメキシコ州、ルイジアナ州、オクラホマ州、メキシコ北部にまで広がっている」と話す。

 イリノイ大学のウェブルズ氏は、「気候変動の発生とその急速な進展は科学的に明らかで、誰も否定できない。“地球の気候に変化が起きており、人間の活動の結果である”という見解は、専門家の間でも一致している」と強調する。

 2011年と12年には、干ばつ、熱波、暴風雨、竜巻、洪水、ハリケーン、山火事など、大規模な異常気象により、年間約600億ドル(約5兆6000億円)、総計約1200億ドル(11兆2000億円)の被害が発生した。

 米国海洋大気庁(NOAA)国立気候データセンター(NCDC)によると、金額ベースでアメリカ史上最悪レベルの異常気象だという。

 オバマ大統領は、2月12日夜(日本時間13日午前)に行った一般教書演説において、「今や気候変動に対処しなければならない時期にきている」こと、そして「議会の承認が得られなくても、必要な取り組みを行う」と明言した。

 大統領の提案には、就任1期目に議会で廃案となったキャップアンドトレード(排出量取引)のような制度や、石炭火力発電所に対する新たな規制、省エネやクリーンテクノロジー向け研究開発投資の推進などが盛り込まれている。

 ウェブルズ氏は次のように話す。「大統領が真剣に取り組む姿勢を見せたことはうれしいが、一般の人々が科学的に正確な情報にアクセスできることが重要だ。受け入れやすいだけの誤った主張は容認しがたい」。