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ビジネスで大成功する人は“根拠のない自信”を持っている

柳澤 大輔  日経ビジネス2013年1月16日(水)「あいつは根拠のない自信を持っている」。

 こんな表現があります。あなたの周りに「根拠のない自信」を持っている人はいますか?あなたは「根拠のない自信」は持っている方が良いと思いますか?

 僕は、カヤックという会社を経営していていろんな社員をみてきましたが、根拠のない自信がある人とない人がいることがわかりました。あるいは、最初は根拠のない自信があったけども、だんだんそれがなくなってくるという人も見てきました。

 そこで、今回は「根拠のない自信」について考えてみたいと思います。

■ビジネスで大成功をおさめる人は知っている

 本当は、「根拠のない自信」はないのだろうとは思っています。
きっと、根拠はその本人の中にある。でも、それが時に言葉で説明できないものであったり、周囲からみると根拠になりえないものだったりするだけだと思うのです。

 ただ、ビジネスで大成功をおさめる人は、実はこの言葉で説明できない「根拠」を信じることの重要性が分かっているのではないかと思います。つまり、世の中の大半の人にとっては、根拠たりえないものを根拠にして自信に変えることができるんだろうと思います。

 では、そもそも「根拠のない自信をもち続けられる人」というのはどういう人のことなのでしょうか。

 誰もが若いうちは、ある程度人生に期待感がいっぱいですし、根拠のない自信をもっているものです。ですが、それは年をとるとともに様々な常識を身に着け、根拠がないとなかなか自信がもてなくなるものです。

 それが普通のサイクルですが、そこから逸脱して、「根拠のない自信を持ち続ける人」について考えてみたいと思います。

 僕は厳密に言うと2種類のタイプがいると思っています。
 1つ目は、最終的に自分に起きたことは自分にとって全部いいことなんだと思っているタイプです。ただこれは別に特別なことではなく、誰もがある程度はそのように思っているのではないかと思います。でも、ある程度じゃなく、それをつきつめている人です。究極のポジティブ思考、もっといえば究極の能天気、それがある程度他者と比較して突き抜けていると、「なんであいつはあんなに根拠のない自信をもっているんだろう」と言われる境地にまでいきます。

 どうでしょう。周囲に何人かいませんか?普通だったら、その状況なら不安になるはずなのに、ほんとにのんきだなぁ・・・って人です。

 では、この手のタイプの人間にとっての「根拠」は何でしょうか。それはずばり人間讃歌です。おそらくこの手の究極の自信をもっている人は、どんな人生であれ生きているだけで有難い。すばらしいことだという美学があるんだろうと思います。

 つまりそれがその人にとっての根拠であり、決して揺るがないものです。その境地にいけるのはほんとにすばらしいことだとは思いますが、どうしてそういう思考になるのかは謎です。宗教的な思想をお持ちなのか、あるいはそういう環境下で育てられたのか、それはわかりません。もちろん、このタイプが、たくさんいるわけではありません。それこそ、若いうちはそうだとしても、年とともに様々な常識を身に着け、その能天気さがなくなり、そして根拠のない自信は失われていきます。

 そして、残念ながら、このタイプは、ビジネスという世界で目覚ましい活躍をするかというとそうでもないことも多いです。もちろんポジティブな人間はいい仕事もすることは間違いありませんが、ビジネスなんてのは所詮世界の森羅万象のなかでは一部のルールにのっとっているゲームみたいなものですから、そこへの執着が時に薄くなることも多いのです。

 続いて、「根拠のない自信」をもち続けられる2つ目のタイプの話です。

■もう一つのタイプは?

 それは、「根拠のない自信」の重要性をわかっていて、それを自分の人生の有効な能力としていかそうとしている人です。それは具体的にいうならずばり、運とか気の流れとか予知とか、なんでもいいんですが、常識的には根拠たりえないものを信じ、それをどう自分が取り入れていくかを真摯に取り組んでいる人なのではないかと思います。

 会社を経営していてこんなケースがよくあります。なぜか全く同じことをしているはずなのに、自信がある人に担当が変わった瞬間、うまくいく。そういう結果を何度も目の当たりにしました。

 何かをしたわけではなく、明らかにその人のポジティブ思考が、引き寄せたとしか思えない結果が出るということです。そこにはどうも根拠はないのです。
つまり言葉では説明がつかない世界です。

 これはスポーツの世界やギャンブルの世界にどっぷりつかっている人ならわかる感覚です。そういった世界には、例えば確率論のような根拠たりうるものを超えた世界が時に起こる。どうやっても説明のつかないことが起きるのです。

 結局、「根拠」なんてものは人間がつくった言葉であり、人間の活動を全部言葉であらわすことなんて無理なのです。この世界の森羅万象は、言葉であらわせないことの方がよっぽど多い。

 例えば、最近読んだ超能力の研究の本にはこんな話がありました。

 紙と写真を入れた二つの封筒を用意して写真はどちらかと当てさせると、普通なら確率は半分なのに、男性を被験者にして片方はエロ写真だと教えら、なんと、当たる確率が53.1%に上昇したとのことです。社会心理学の研究者として多くの業績を残している方の発表だったため、ニューヨーク・タイムズがこの記事掲載を取り上げるほどに話題になったようですが、これが科学的に正しいか正しくないかとかよりも、そういった、根拠たりえないことを、自分の根拠とし、信じきれるかどうかは、重要なのではないかと思うのです。

■運のいい人を雇えと松下幸之助

 松下幸之助さんも、運のいい人を雇えといいました。ソニーにもエスパー研がありました。船井総研の船井さんもほんとに“ぶっ飛んでいて”凡人には理解が追いつかない部分もあります。

 運のいい人を雇うと会社がよくなる、ふーん、そんなもんかとは思います。反対しない人も少ないんじゃないかと思います。でもおそらく偉大な経営者は、そんなレベルじゃなく、本気でそれがものすごくビジネスの世界、勝負の世界には重要なことだと考えていたのだろうと思います。本気でその根拠のないことを信じていたんだと思います。だから、ではどうやったら本気で運のいい人を採用できるか?を真剣に方法論まで考えようということになるのだと思います。

 誤解しないように付け加えますが、根拠があることももちろん重要です、でもそれと同じぐらい根拠がないものも信じられる人が強いのだと思います。

 例えば、麻雀をしていても、強い人とうまい人というのがいます。うまい人というのは、麻雀をとことん勉強をして、確率論や論理的思考で戦うタイプ。強い人は、そんな確率論なんか一切無視して、でも勢いだけで強いタイプ。両方そろっている人はなかなかいませんが、おそらくビジネスの世界で偉大なことを成し遂げられる人はその両方がそろっている人なのではないでしょうか。

 僕もいくつになっても根拠のない自信を持ち続ける人になりたいですし、そのためにどういう努力をすればいいのかを真摯にこの2013年も取り組んでいきたいと思います。

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それをもつ事が今年の目標。

この方、きっとジョジョ好きだろうな。