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なぜ、資料の送付、電話一本すら億劫になるのか −「先送り症候群」6タイプ別病状と処方箋【3】心配性タイプ

2012年12月16日(日)(プレジデントオンライン)
PRESIDENT 2011年2月14日号 掲載

わかっちゃいるけど取りかかれない。その心理的メカニズムを理解すれば、突破口は必ず見える。すぐやる人になるための簡単な仕掛けを紹介する。

たった一本、アポイントの電話をかけることが、なぜかできない……。

この心配性タイプ、佐々木正悟氏によると、親から年中怒られる環境で育った人に多く見られる。緊張して生きているという意味では完璧主義タイプに似ているが、基準が常に外側にある点は正反対だ。

「このタイプは、完璧に仕上げたいという内側の基準ではなく、人に文句を言われたくないという外側の基準に囚われています。しかも、人は些細なことで怒り、文句を言ってくると思い込んでいる。だから、よほどモチベーションを高めないと、ごく簡単な作業もできないのです」

平本あきお氏が勧めるのは、まず自分がグズグズしがちな行動を書き出すこと。

「書き出したうえで、行動に伴う目先の“苦”と将来の“快”を比較し、快に目を向けるようにします。これで嫌々ながらも手をつけようとはするでしょう。次に苦手意識の強い作業と快を結びつけます。好きな喫茶店に行ったり、好きな珈琲を入れるなど自分に快を与える環境をつくって作業に取りかかるのです。そのうちに、その作業自体が心地いいものになってきます」

心配性タイプには、宅配便ひとつ出すにも膨大な時間をかける人がいる。箱のサイズ、梱包の仕方、伝票の書き方などについて、集配人から文句を言われるのではないかと恐ろしくて仕方ないのだ。

佐々木氏が勧めるのは、「現実主義療法」と呼ばれる方法だ。やるべき仕事をリストアップし、タイマーをセットする。アラームが鳴ったら機械的に仕事を始め、次にアラームが鳴るまでに仕事をダーっと片づける訓練を重ねる。

「それができれば苦労はないと言われるでしょうが、心配性タイプがやろうとしているのは、完璧主義タイプのように大それたことではなく、宅配便を出すような簡単なこと。タイマーを使うことで、『手間暇かけても結果はあまり変わらない』という現実を学んでいくわけです」

一方、笹氣健治氏が勧めるのは、ゲシュタルト療法で使う祈りの言葉だ。

「『他人は私を喜ばせるために生きているのではない』と、事あるごとに3回唱えます。アポイントの電話を断られたりすると、まるで自分が否定されたように感じますが、そもそも相手は自分を喜ばせるために存在しているのではないと気づけば、傷つく必要はありません」

しかも、仕事は自分の一部分でしかなく、その一部分を否定されたからといって自分がすべて否定されたわけではない。

「このタイプには、仕事と自分を一致させないことが非常に大切です」(笹氣)

TODOリストをカード化して、トランプのババ抜きの要領で1枚引き、その仕事から片づけていくのもいい方法だ。

「心配性の人は、仕事を始める前に悪い結果を予測して手が止まる。それを防止するには、始める前にあれこれ考えない工夫をするといいのです」(笹氣)

不安や焦りなどの感情は思考から生まれる。思考する暇を自分に与えなければ、ネガティブな感情は生まれないのだ。