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【第2回】「やる気」に左右されず、「あたりまえ」のことができるようになる4ステップ

■思考の「あたりまえ化」4ステップとは

私は前回、

「自信をつけるのに、モチベーションは100%必要ない!」

と言った。

現実的に目標が達成するかどうかは別にして、行動をスタートする前から達成することは「あたりまえ」だ、目標は「絶対達成」なんだという思考を持つことが必要なのだ。

それでは、どうすれば、思考を「あたりまえ化」できるのだろうか?

拙著新刊『絶対達成マインドのつくり方』(11月2日発売)には、「思考のあたりまえ化」について、かなりのページを割いて解説している。
NLP神経言語プログラミング)理論を活用しながらも、図も取り入れ、わかりやすく記したのでぜひ参考にしていただきたい。

今回は、その「『あたりまえ化』の手順4ステップ」の概略と、最も重要な3ステップ目の「がんばる状態」のときについて触れてみたい。

思考の「あたりまえ化」は以下の4ステップを踏む。

1 わからない状態(無意識的無能)
2 わかっちゃいるけど状態(意識的無能)
3 がんばる状態(意識的有能)
4 あたりまえ状態(無意識的有能)

この手順はNLP理論の「学習の4段階」に則している。
以降、わかりやすく解説していきたい。

まず、「わからない状態(無意識的無能)」とは、「知らないからできない」という状態である。車の運転にたとえると、運転方法を知らないから運転できない、ということ。

2番目の「わかっちゃいるけど状態(意識的無能)」は、「知っているのにできない」という状態である。車の運転にたとえると、運転方法は学んだけれども実際の運転はわからない状態のこと。

3番目の「がんばる状態(意識的有能)」とは、「意識しているときはできる」という状態。トレーニングを繰り返し、身体に覚え込ませている最中である。教習所で何度も運転の練習をすると、意識すればなんとか運転できる状態になるだろう。
ただし、「がんばる状態」のときは肩に力が入り、常に緊張している。大きなストレスがかかる。この状態のときが一番大切なので、今回のコラムでしっかりと解説していく。

4番目の「あたりまえ状態」(無意識的有能)とは、無意識にできてしまう状態のこと。「できる」のではなく、「できてしまう」のだ。
ストレスは一切なし。モチベーションなどまったく関係がない。なぜなら、それが「あたりまえ」だからだ。
この状態になれば、がんばらなくてもよくなる。
車の運転に慣れている人であれば、がんばらなくても運転できる。その状態を指す。
この状態になることを目指していく。

■「無理をしないで」は禁物

冒頭に書いたとおり、今回のコラムでは「がんばる状態」についてスポットを当てる。

「がんばる状態」は「意識的有能」状態を指す。
つまり、意識すればできるが、無意識のときは行動できないという状態だ。
意識しないとできないので、とてもストレスがかかる状況にある。
このときに、多くの人が脱落していく。
目標を達成しよう!新しいことをチャレンジしよう!と、どんなに意気込んでも、慣れないことを続けるにはストレスがかかる。
ストレスがかかると、行動を続けない言い訳――つまり「思考ノイズ」が再び頭の中を飛び交い始めてしまう。
しかし、ここはあえて「無理」をすべきだ。
少々キツイと思えば、自分が成長しているという実感を持つのである。

意識してもできない状態を「わかっちゃいるけど状態」と言う。
しかし、「がんばる状態」になっているということは、すでにこのステージは越えている。意識すればできる状態になっているのだから、背中をドン! と押してやればいいのだ。

それを繰り返していくことによって、思考は「あたりまえ化」していく。
つまり無意識のうちにできる状態に自分が変容していくということだ。

■高速道路直前では、一気に加速せよ

最近、溶けたソフトクリームのように、生ぬるくて甘ったるい言葉が多すぎる。
相手の状態を正しく理解せず、つらそうにしている人に、
「そんなに無理をしなくてもいいんじゃないか」
「君は君らしくいればいいんだよ」
「がむしゃらにやってもいいことなんてないさ」
などと杓子定規に声をかける人が多いが、今日からやめたほうがいい。

現時点で「無理だ」と思うことをやりきるから、将来に「自信」をつけることができるのである。
心の病気になっている人が相手ならともかく、ちょっとくらいキツそうにしているだけなら「がんばる」のだ。がんばらなくていい理由など、どこにもない。

「あたりまえ状態」は、高速道路に乗っているところだ。
しかし、「がんばる状態」のときは、高速道路に乗る直前。
だから加速すべきだ。
アクセルを踏むのだ。
ストレスがかかるのはわかっている。だからといって、一度加速したのに怖くなって、アクセルから足を離したらどうなるのか?後続の車も迷惑だ。
ここは一気に加速しよう。
がんばり続けるのは大変だろう。ストレスもたまる。しかしそれは「あたりまえ化」するまでの期間だけ。

筋トレと同じである。
ストレスをかけないようなトレーニングをしても、筋肉は成長しない。
「ちょっとキツイな……」という状態にまで自分を追い込み、もう少しだけふんばってみる!そうすることで、次からさらに限界点を超えるようなトレーニングができる。

■8ヵ月の「葛藤のシーズン」を乗り越えるには

この時期にはストレスと向き合う必要がある。この時期を「葛藤のシーズン」と呼ぶ。どんなストレスがあるかというと、

・意識しないとできないので、肩に力が入り、緊張状態が続く
・思うような結果が出ない。逆に結果が落ちることもある
・時間が長く感じる

など。
しかし、「葛藤のシーズン」は必ず終わる。出口のないトンネルなどない。
「がんばる状態」が「あたりまえ化」するまでに、最長で8ヵ月と考えればいい。
これは私個人のコンサルティング経験などから得た経験値だ。

2年ほど前から私は、ソーシャルメディアで筋トレ仲間を集い、トレーニングを継続させる取り組みをしている。
私が最初に誘ったメンバーはほぼ全員、筋トレとは無縁の人たちだ。ストレス耐性の高そうな方々を集め、
「一緒にやろうよ。毎日トレーニングして悪いことなんてないんだから」
と、かなり強引に勧誘した。
実は、私もスポーツジムが大嫌いだった。
仲間がいれば、「意識」や「行動」の回数が増え、いずれジムに通うことが「あたりまえ化」するのだと考えていた。

私の場合、いったん「スポーツジムに通おう」と決心して通い始めてからは、半年で「無意識的有能」状態になった。つまり「あたりまえ化」である。
うれしいことに、いまでは忙しくてスポーツジムに行く時間がなくなると、体がなまってきて、気持ち悪いと思うくらいである。

■なぜ、短期間で急激に変わったのか?

以前の私なら考えられないことだが、出張先にもランニング用のウェアとシューズを持参するようになった。
早朝から4〜5キロ走って、その街の雰囲気を楽しもうとするまでになった。
私が誘ったトレーニング仲間の中には、数ヵ月後にフルマラソンに参加するようになった人や、鉄人レースに出るようになった人もいる。
彼らも周囲が驚くほどの変貌を遂げている。

もともと体を鍛えていた人ならともかく、そうでもない人が短期間で急激にトランスフォーム(変容)すると、なんだか奇跡を見ている気分になる。
私が誘った人で、いまでも続いている人が口をそろえて言う言葉がある。
それは、

「前からやろうと思っていたけど、なかなかキッカケがなくて……。誘ってくれた横山さんに感謝しています!」

相手の状態を正しく観察する必要があるが、昨今、総じて背中をドン!と押してくれるような人が少なくなった。

「自分がやりたいんだったらやればいいんじゃない?やりたくないんだったら無理しなくてもいいと思うよ」

というような、どっちつかずの、奥歯にものがはさまったような言い方をする人が増えているのだ。
相手が「がんばる状態」の人であれば、ぐいぐい引っ張っていくくらいでいいのである。

「葛藤のシーズン」を抜け出ると、「現状維持バイアス」がはずれ、ストレスフリーで実践できるようになる。

「マインド」は目に見えないものだから、いつ高まったか自分ではわからない。
本当にマインドが高まっているのか、不安になることもあるだろう。
しかし、その時節を乗り越えたとき、ふと「いままで朝が苦手だったけれど、最近、早起きできるようになったな」「前よりも家事を手伝うようになったな」など、いつのまにか変化している自分に気づくはずだ。

次回のコラムでは、「自分が何をやりたいのかわからない」と言って、「自分探しの旅」に出かけようとしている人がいるが、その前に、いまやるべきことを「絶対達成」すべき、という話をしたい。お楽しみに!