【第1回】自信をつけるのに、モチベーションは100%必要ない!
結果を出したり、目標達成のためには、「気合」や「モチベーション」が必要だ!と誰もが考える。だが、このたび『絶対達成マインドのつくり方』を発刊した横山信弘氏は、「自信をつけるのに、モチベーションは100%必要ない!」と言い切る。
これはいったいなぜなのか?
年間100回以上のセミナー、講演会で5000人以上を変える現場コンサルタントが、「科学的に自信をつける方法」を語る5回連載がついに始まった!
第1回は、思考の「あたりまえ化」、「現状維持バイアス」のはずし方、「モチベーションへの大いなる誤解」を紹介。「始められない」「続けられない」「やりきれない」あなたに、著者からのメッセージをお届けする。
■トップセールスの口ぐせは、なぜいつも同じなのか?
私はこれまでに幾多の「トップセールス」と出会い、親交を深めてきた。そして彼らのほとんどが同じ思考で仕事をしていることも知った。
結果を出せない人からすれば、なぜ結果を出せるのか?
何か強烈な動機づけがあるのか?
と知りたくなるものだが、ほとんどのトップセールスが口をそろえて言うのが、
「あたりまえのことを、あたりまえにしているだけです」
「結果を出すノウハウなんてありません。ただ、普通にやっていったら結果が出たんです」
というフレーズだ。
こういう話を聞くと、多くの人は失望するだろう。
嫌悪感を抱く人もいるかもしれない。
「本当は何か隠してるんじゃないか?」
「何か事情があって、強烈なハングリー精神があるに違いない」
と、特別視したくなるものだ。
でないと、結果を出すことのできない自分を「普通以下」「あたりまえのこともできない人間」だと認めることになるからだ。
本を出版している方や、有名企業の社長が語ることの中には、奇抜で新鮮味のあるテクニックもある(ニュース性の高いノウハウを持っているからこそメディアで取り上げられる、ということを忘れてはならない)。
しかし現実的には、一般的な企業に勤めている「成功者」もしくは「できる人」にどれほどインタビューしても、心躍らされるようなテクニックやノウハウに出合うことはない。
現場に入るコンサルタントとして、これは断言できる。
彼らは誰もがやっているようなこと、どこかの本に書いてあったようなことを淡々と実践しているだけなのだ。
そう、あたりまえのようにやっているだけなのである。
■建設設備会社をまるごと「あたりまえ化」する試み
建設設備会社でコンサルティングを実施しているときに、ある営業マンから次のような相談を受けた。
「去年まで6000万円の目標だったのに、今年から7000万円の数字をやれ!と言われています。無理に決まっているのに信じられません」
それを受けて私はこう応じた。
「なるほど。7000万円をやってくれと上司から言われて、『無理です』と答えたんですね?ところで、『無理です』と答えるまでに『考えた』回数はどれくらいあったのですか?」
「え?考えた回数?そんなことよくわかりません」
「じゃあ、明日の朝10時に、まだ一度も行ったこともないお客様のところへ行くとして、どうやって10時までに訪問できるかを『考える』回数は、目安としてどれくらいになるのですか?」
「まだ一度も行ったことのないお客様なら、けっこう考えますね」
「あたりまえですよね?」
「そりゃあ、あたりまえでしょう。初めて行くお客先なら」
その営業は私に平然とした顔で言った。
上司に「7000万円のノルマを頼む」と言われたら、「無理です」と即答したにもかかわらず、だ。
「お客様のところへ朝10時に訪問するケースで考えると、到着するまで何度も『考える』。これが、10時をすぎてもいいというのであれば、意外と考えないものだが、10時には絶対に到着していないといけないと考えると、無意識のうちにかなりの数『考える』ことになるものだ。
私がそう言うと、彼は何も言い返せなくなった。
当然だろう。目標のノルマが高いか低いかは関係がないのだから。
期限までにどれくらい「考えた」か、が大切なのだ。
初めから「無理だ」「できるわけがない」などと思う人は、日頃から工夫をする習慣がないし、誰かに相談して協力を仰ぐこともしない。
そのような人が、自分を成長させて、人生の成功をつかみとれるはずがない。
■思考が「あたりまえ化」している人vs「あたりまえ化」していない人
思考が「あたりまえ化」している人は、目標の水準など気にしない。
自分に自信を持っているので、「やってみないとわからない。とりあえずやってみよう」という思考があるのだ。
とりあえず「やる」と決めることで、期限までの日々、「考える」という回数が自動的に膨れ上がっていくのである。
だから達成が「あたりまえ化」している人と、そうでない人とでは、思考そのものがまったく違うのだ。
決めたのにやりきれない。結果を達成できないのは、スキルがないからだとか、うまくいく方法を知らないからだという以前に、思考が「あたりまえ化」していないことが根本的な原因である。
そして問題は、多くの場合、その人が置かれた「環境」にある。
目標を達成しなくても許されるような組織に身を置いていると、人はその組織風土や環境に強く影響を受ける。
したがって、思考を短期間で「あたりまえ化」するのは簡単だ。
組織の風土として目標達成が「あたりまえ」となっている会社へ転職すればいい。
そういう職場にいて、一人だけ「無理です」「できるかぎりがんばります」などとは言えなくなる。
転職はインパクトの強い体験だ。インパクトのある体験をすることで、思考は一気に変わる。つまり「現状維持バイアス」がはずれるということだ。
「現状維持バイアス」とは、現状を現状のまま維持しようとする無意識下における心理欲求のこと。理屈ではなく、いままでのやり方は変えたくないというバイアスである。まったく経験のない新入社員でないかぎり、誰でもこのバイアスがかかっている。
では、「現状維持バイアス」を取り払うにはどうしたらよいのか。
転がり続けるボーリングのボールがあると想像してみてほしい。
このボールを止めたり、曲げたり、逆回転させたりするためには、強いインパクトを与えるか、弱いインパクトを何度も与えるか、だ。
つまり、過去の体験によってできあがった思考や習慣を変化させるためには、「インパクト×回数」が必要だ。強いインパクトをかけるか、小さなインパクトを繰り返すか、である。
しかし、転職というのは現実的な選択ではない。
転職先が必ずしも「達成があたりまえ」になっているかどうかも定かではないのだから。
そこで私は、相談にきたこの営業マンだけにインパクトを与えたのではなく、この建設設備の会社にて、組織をまるごと「あたりまえ化」していった。
前述のとおり、思考や習慣を変化させるには「インパクト×回数」だ。
インパクトの強い転職をせずにやるには、同じ組織に残りながら思考を変革させるわけだから、当然のことながら「回数」が大切になってくる。
どのような「回数」が求められるかは、本コラムを通しておいおい説明していく。
ここでのまとめは、「あたりまえ化」は誰にでもできるのだが、多くの場合は「回数」が必要だということである。
■「てっとり早くうまくいく状態」をつくる「逆算思考」
「絶対達成」というフレーズを聞くと、多くの人はなにやら大変な努力を求められる気がするだろう。
しかし、そんなことはない。
「発想の転換」を図るだけで、目標を「絶対達成」できるようになる。
発想の転換とはおもしろいもので、これまで「AだからB」と思っていたことを、AとBを逆転させたとたん、突然腹に落ちることがあるからだ。
たとえば、
◆「部下が仕事を覚えないから、仕事を任せられない」
→「仕事を任せるから、部下は仕事を覚える」
◆「役に立つ本がないから、本を読まない」
→「本を読むから、役に立つ本との出合いがある」
◆「疲れているから、運動できない」
→「運動をするから、疲れない体が手に入る」
などがよい例だ。
こういった発想を「逆算思考」と私は呼んでいる。
思考を「あたりまえ化」すると、「時間が未来から流れてくる」。つまり、目標達成から逆算して期限までにいま何をすべきかが明確になるので、時間をコントロールできるようになるのだ。
それと同じで、「逆算思考」で物事をとらえると、逆から考える習慣が身につく。
◆「モチベーションが上がらないから仕事に打ち込めない」
→ 「仕事に打ち込むからこそ、モチベーションがアップする」
というのも同じことと言える。
転職はインパクトの強い体験だ。インパクトのある体験をすることで、思考は一気に変わる。つまり「現状維持バイアス」がはずれるということだ。
「現状維持バイアス」とは、現状を現状のまま維持しようとする無意識下における心理欲求のこと。理屈ではなく、いままでのやり方は変えたくないというバイアスである。まったく経験のない新入社員でないかぎり、誰でもこのバイアスがかかっている。
では、「現状維持バイアス」を取り払うにはどうしたらよいのか。
転がり続けるボーリングのボールがあると想像してみてほしい。
このボールを止めたり、曲げたり、逆回転させたりするためには、強いインパクトを与えるか、弱いインパクトを何度も与えるか、だ。
つまり、過去の体験によってできあがった思考や習慣を変化させるためには、「インパクト×回数」が必要だ。強いインパクトをかけるか、小さなインパクトを繰り返すか、である。
しかし、転職というのは現実的な選択ではない。
転職先が必ずしも「達成があたりまえ」になっているかどうかも定かではないのだから。
そこで私は、相談にきたこの営業マンだけにインパクトを与えたのではなく、この建設設備の会社にて、組織をまるごと「あたりまえ化」していった。
前述のとおり、思考や習慣を変化させるには「インパクト×回数」だ。
インパクトの強い転職をせずにやるには、同じ組織に残りながら思考を変革させるわけだから、当然のことながら「回数」が大切になってくる。
どのような「回数」が求められるかは、本コラムを通しておいおい説明していく。
ここでのまとめは、「あたりまえ化」は誰にでもできるのだが、多くの場合は「回数」が必要だということである。
■「てっとり早くうまくいく状態」をつくる「逆算思考」
「絶対達成」というフレーズを聞くと、多くの人はなにやら大変な努力を求められる気がするだろう。
しかし、そんなことはない。
「発想の転換」を図るだけで、目標を「絶対達成」できるようになる。
発想の転換とはおもしろいもので、これまで「AだからB」と思っていたことを、AとBを逆転させたとたん、突然腹に落ちることがあるからだ。
たとえば、
◆「部下が仕事を覚えないから、仕事を任せられない」
→「仕事を任せるから、部下は仕事を覚える」
◆「役に立つ本がないから、本を読まない」
→「本を読むから、役に立つ本との出合いがある」
◆「疲れているから、運動できない」
→「運動をするから、疲れない体が手に入る」
などがよい例だ。
こういった発想を「逆算思考」と私は呼んでいる。
思考を「あたりまえ化」すると、「時間が未来から流れてくる」。つまり、目標達成から逆算して期限までにいま何をすべきかが明確になるので、時間をコントロールできるようになるのだ。
それと同じで、「逆算思考」で物事をとらえると、逆から考える習慣が身につく。
◆「モチベーションが上がらないから仕事に打ち込めない」
→ 「仕事に打ち込むからこそ、モチベーションがアップする」
というのも同じことと言える。
■モチベーションは「あたりまえでないこと」をやるときだけ必要
そうは言っても、これだけ浸透している言葉だから、金輪際忘れてください、意識しないでください、というのは難しいに違いない。
そこで私なりにモチベーションとは何かを定義したい。
モチベーションとは、「あたりまえ」以上の行動を起こすときに必要な心理的エネルギーである。
はっきり言っておく。
「あたりまえ」の行動をするときには、モチベーションなど必要ないのだ。
たとえば、「10時出社」の会社なら、その時刻に出社するのは「あたりまえ」だ。
モチベーションが低いから出社できない、という人はいないだろう。
営業が午後3時にアポをとったら、その時刻にお客様のところへ行くのは「あたりまえ」。モチベーションは関係ない。
ところが、上司から、
「今週中に、業務改善に向けたアイデアを考えてくれないか」
と言われたとする。その仕事ができていないと、
「モチベーションが低いんじゃないか?」
と言われてしまうかもしれない。
やったとしても上司が期待した成果を出せないと、
「こんなものは業務改善のアイデアとは言えない。私の言っていることがわからないなら、もっと早く相談してくれないと!」
と叱られ、さらに「ちっともやる気が感じられない」と小言を言われるかもしれない。
これは「期限内に会社・上司が望むことに応える」ことが「あたりまえ」になっていないことが原因で、モチベーションが低いからではない。
「あたりまえのことをやる」 → モチベーションは関係ない
「あたりまえ以上のことをやる」 → モチベーションが関係する
ということを覚えておく必要がある。
だから結果を出すことが「あたりまえ」と感じている人は、モチベーションとは関係なく結果を出す。
「自信をつける(結果を出す)のに、モチベーションは100%必要ない!」という意味は、ここからきているのだ。
さて、次回は、どうすれば、思考が「あたりまえ化」するのか?
その4つの手順について触れたい。
お楽しみに!