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人間は「感情」に引きずられる動物である。 ワクワク感がプラス思考を生み出す!

2012年10月26日(金)ダイヤモンド・オンライン
人は「その気」になりさえすれば、夢も実現してしまうもの。1970年代から大脳生理学を利用した科学的なメンタルトレーニングの研究を始め、現在ではビジネス、スポーツ、教育など多くの分野に門下生を持ち、メンタル面の指導を行い、それによって多数の成功者を輩出している西田文郎氏。
今回は「その気」を生み出すために必要な「メンタルの影響力」の大切さを解説します。

■「その気」を生み出すには「ワクワク感」があればいい!

前回、成功している人は皆、「その気」になっていると申し上げました。しかし、この「その気」をコントロールするのにいちばん必要なのが「ワクワク」する気持ちです。

ワクワクとは、こんなことが実現したらすごい!とても楽しみだ!といった脳がときめいている状態です。

以前と違って、最近はトップアスリートの皆さんのコメントでも「試合を楽しみたい」とか「楽しんで挑戦したい」などと話すのをよく聞くようになりましたが、こうしたコメントが出る状態こそ「その気」になっている状態です。

ビジネスで成功している社長さんたちも、

「会社でこんなことを目標にやっています!来年には××億円の売上を達成しますよ」とか「新しいビジネスを始めて、来年には実現できそうです」など私に報告してくれるときには、目を輝かせています。

こうした人たちが共通して持っているのがワクワクした気持ちです。

人は楽しんだり喜んだりすると、脳が「快」の状態になり、なんでも肯定的に受け取れるプラス思考になります。逆に脳が「不快」の状態になると、否定的なマイナス思考になります。

つまり「肯定的な脳」を持つことが成功へのカギですから、ワクワク感はとても大切です。

■脳がプラス思考のときはどんなことも辛くない!?

プラス思考の人は、どんなことがあってもへこたれません。これは科学的にも証明されていて、脳が「快」の状態だとアドレナリンやドーパミン、エンドルフィンといった脳を活性化させる神経伝達物質が出て、エネルギーがあふれ出すのです。

ワクワクしながら「今度の仕事は絶対に成功する!」と脳が「快」の状態であれば、その仕事のために徹夜しても辛くないでしょう。仕事にやりがいを感じて、充実感で満たされているかもしれません。

仕事だけではありません。自分の楽しみな試合やコンサートを見るために徹夜で並んでチケットを取る、大物を釣るために真夜中から釣りに出発する場合など、脳は「眠れない」というマイナスよりも「楽しみだ!」というワクワク感を感じているので睡眠不足も気にならないのです。

スポーツに置き換えれば非常にわかりやすいのですが、人はプラス思考だと、ここぞ、というときに強いものです。

たとえばサッカーで大事な場面に、ゴールキーパーと1対1のペナルティーキックになってしまったとしましょう。プラス思考で「チャンスだ!ここは絶対に入れる、入る気がする!」と思う人と、「ここで入れないと後がない。外してしまったらどうしよう」と思ってしまう人では成功率が違ってきます。

実は「脳」というのは、自分が思った通りのイメージを実現しようとします。一瞬でも「外してしまったら……」という否定的な思いが浮かんだ瞬間、脳は失敗するイメージにとらわれてしまいます。

スポーツでイメージトレーニングが大切というのはそういった理由からです。しかし単なるイメージだけでは成功できません。成功するのに必要なのはイメージにプラスして「ワクワク」する気持ち、脳が「快」の状態になっていることが大切なのです。

どんな状態でも、脳を「快」の状態に切り替えていく、そんな方法が私の提唱するブレイントレーニングなのです。

■「その気」の法則とは、感情と思考を上手くコントロールすること

「アイツはその気になれば、何でもできるなあ」

「部下をその気にさせて、大プロジェクトを成功させるぞ」

私が知っている若くして成功している人たちに共通しているのが、人の感情や思考をプラス方向へ導き、上手く「その気」を利用しているということです。無意識にやっている人も多いですし、学んで身につけている人も大勢います。

カリスマ経営者と呼ばれる人たちは、自分も相手もワクワクさせ、知らずしらずのうちに「その気」にさせるのが上手です。夢を語るカリスマ経営者は、自分の言葉で、自分も相手もいつの間にか陶酔させてしまいます。

自分でも他人でも「その気」にさせるには、感情をコントロールしなければなりません。人は、喜びや悲しみ、怒りなど、さまざまな感情を抱いています。

ここで大事なのが、「感情は思考よりも強い」ということです。

「感情的になるな」「感情を抑えろ」というように、感情は理屈抜きでその人を動かしてしまいます。つまり、思考は感情に引きずられます。

スポーツの世界を見てもらえばわかりやすいでしょう。いくら実力があっても、精神面が脆い選手は本番ではなかなかいい結果を出せないことが多いものです。感情の影響を受けやすいので、大舞台に立っても「彼は本番に弱いね」とか「練習では上手くいったのに」といったことが起こります。

自分の思考だけではありません。相手との関係性も「感情」がいちばん強く働きます。「ウマが合う」「ソリが合わない」という言葉があることからもわかるように、頭では「この人は優秀だ、仕事ができる」と思っていても、感情で自分の行動が左右されてしまうことが多いのです。

■どんなに優秀でもキライな上司、キライな部下

たとえば苦手な上司がいたとします。そんなとき、仕事だと割り切って相手を受け入れよう、歩み寄ろうと、いくら頭で思っても上手くいきません。それは、相手が苦手だという感情が邪魔をしているからです。

上司から注意されたひとことでも、感情がプラスになっていれば「そんなところまで見ていてくれたなんて、ありがたい」と思うものですが、上司にマイナス感情があれば一言一句変わらない同じひとことでも、「こんなところまでチェックしているなんて、本当に細かいイヤな上司だ!」と不平不満が出てきます。

そして脳がマイナス思考になってしまうと、プラス思考のときとは逆に、今度はストレスホルモンをどんどん出してしまい、実力が出せなかったり、身体の不調にもつながるのです。

ですから、それならば、自分の感情をプラスにしたり、苦手だなと思っている相手に対してマイナスの感情をなくせばいいのです。それには、先ほども言ったように、思考がマイナスでも、感情がプラスになれば引きずられて思考もプラスになります。いかに感情をプラスにコントロールするか。これが私共がやっているメンタルトレーニングの基本なのです。