世界で勝負できる人、できない人──自分に負けないことから始めよう!
社会情勢が激しく変わる環境下で、ビジネスも経営も、そして人生も、うまくいかないことのほうが圧倒的に多いです。どんなにがんばっても、自分が置かれている環境が悪ければ結果は出ませんし、その時々の社会状況や運もあります。出世するかどうかという人事の話まで含めれば、自分の努力が正しく反映するのは多く見積もっても50パーセントぐらいでしょう。
●自分に負けなければ負けではない!
だからこそ、不遇をかこっているときには内面を磨き、将来のための種まきをして、捲土重来に備えるべきです。そうしておくことで、状況が好転したときに望ましい成果が出る可能性が高くなるのです。
わたしのビジネス人生を振り返ってみると、決して順風満帆だったわけではありません。サラリーマン時代には2度の降格を経験していますし、社長になってからは解任もされています。そんな挫折を味わいながらも、それなりに充実したものになったのはなぜなのか――。
それは、「それでも負けない力」を持っていたからだと思うのです。いくら優秀でも、一度でも完全に負けて心が折れてしまったら、そこでおしまいです。しかし、不遇をかこっていても「1勝9分け」の心構えで負けないことに徹し、地道に爪を研いでいれば、いつか必ずチャンスはやってきます。
ちなみに、1勝9分けとは、現実の勝敗のことではありません。少なくとも自分には克ち、あとは、とにかく負けないようにする、自分の心まで折れないようにする――ということです。自分に負けなければ、ビジネスでも、人生でも、決して負けることはないのです。
その気になれば、自分との勝負には必ず勝てる。
わたしは「勝つ」には2種類あると考えています。最後に成功する人は、他人との勝負に「勝つ」こと以上に、自分に「克つ」ことに強く執着しているものです。なぜなら、他人との勝負は、時の運や相手との力関係があるので、必ず勝てるとは限りませんが、自分との勝負は、その気になれば100パーセント克てます。
やるかやらないか、続けるか続けないかを選ぶのは、ほかの誰でもなく自分自身です。たとえ些細な行動であっても、自分に克ち続けている人は、長い目で見れば仕事で安定した結果を出しています。
ただし、ここで勘違いしてほしくないのは、自分に克つのに最も必要なのは、強い精神力ではありません。自分に克てないのは、意志が弱いからではなく、「自分に克つための方法」を知らないからです。
●世界で勝負するために必須の5つの武器
多くの日本企業が海外展開に活路を見出しています。今後は、否応なしに、交渉する相手、競う相手、そして、束ねていく仲間は外国人という流れが加速していくのは間違いありません。その中で、自分を磨くこともせず、のほほんと過ごしてきたほとんどの日本人中高年サラリーマンのようになってしまえば、確実に負けてしまいます。わたしは、グローバル時代には、次の5つの武器が必要だと考えています。
● 理念と目標をしっかりつくる
● 問題発見力を磨く
● グローバル基準のコミュニケーション能力を磨く
● 人間的魅力を高める
● 理念と目標達成を託せるリーダーを育てるリーダーになる
これらの「人生経営」の武器とでも呼ぶべき5項目は、企業経営の要諦としてもそのまま通用するものです。というよりも、これからの厳しい競争社会の中で、自分に負けることなく生き残っていくには、自分という会社(自分株式会社)を経営する社長としての発想が求められるのです。
わたしの著書「負けない力」には、この5つの武器を身につけるための方法を、わたしの経験をもとに書いていますので、読んでみてください。ここでは、本書でも述べていることですが、リーダーをめざすみなさんに、ぜひ心にとどめておいてもらいたいことを書いておきます。それは、理念が大事だという話です。
●トンネルの先に明かりが見えているか?
誰にとっても、出口の見えない真っ暗なトンネルを、一人歩くのは、辛く、不安なものです。そんなときに必要なのが、進む先に希望の明かりが見えていることです。そうなれば、心が折れることなく、がんばることができます。
その明かりの役割を果たすのが、理念であり、目的や目標なのです。人の一生には長い短いの差はありますが、1回きりという意味では、誰でも条件は同じです。その1回しかない人生の中で、「自分は何のために生きているのか」という目的と「何を達成するのか」という目標があるのとないのとでは、人生の輝きが違ってきます。
● 君の人生の理念と目的は何か?
● 何を目標として生きているのか?
● これから何をしたいのか?
● どういう自分づくりをしたいのか?
これらの質問に即答できるかどうかが、その人が目的と目標を持って生きている人か、それとも、なりゆき任せで生きている人かを判定するリトマス試験紙です。さあ、あたなは、自信を持って答えられるでしょうか?
目的を持って生きている人は、まず、結果についての責任感が強いです。優先順位の立て方と実行力も違います。その結果として、持っている付加価値が違ってきます。また、無意識のうちに何らかのテーマを決めて行動している人は、例えば不本意ながらも指示された仕事や、義理で参加する飲み会、あるいは、休日の遊びでさえ、必ず自分なりの成果に結びつけます。それは、何かの気づきだったり、人脈だったり、仕事のヒントだったりしますが、自然にそうした習慣が身についているのです。
加えて、何かを成し遂げるにあたって一番重要な情熱も持っています。英語では「go-getter」とか「self-starter」と言いますが、他人に何も言われなくても、自分で目標を設定してダイナミックにチャレンジしていく自燃型の人です。
あなたは、自分で燃えることができる人でしょうか? 燃えてない人のそばに行ってマッチを擦って燃やしてあげられる点火型の人でしょうか? 世界で勝負するリーダーをめざす皆さんには、自燃と点火、つまり、自分を高めるとともに、他人のモーティベーションを高めることができる人になってもらいたいと思っています。
●最後に勝つ人は自分に負けなかった人
繰り返しになりますが、自分に負けなければ負けではありません。そして、最後に勝つ人は自分に負けなかった人です。いまのあなたがどうあろうと悲観することはありません。必要なのは、変わろう、成長しようという意識を持つことです。負けない力と、時間という友の力を借りながら、最後まであきらめることなく、あなたがめざすゴールにたどり着くことを、人生の先輩として心から願っています。
最後に、わたしはいま、次世代のグローバルリーダーを育てることを人生の目標としていますので、若い人からの質問には必ず返事をすることにしています。わたしの本を読んでの感想や質問がある人や、人生のアドバイスを求めている人は、プロフィールに載せているメールアドレスに連絡いただけると、うれしく思います。【新 将命】
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